2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J04077
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柴崎 裕樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 水素 / 鉄水素化物 / 高圧 / 核 / 弾性波速度 / 放射光X線非弾性散乱 / 放射光X線回折 / SiO_2 |
Research Abstract |
(1)高圧下での鉄水素化物(FeH)の弾性波速度の研究 地球核は鉄と軽元素(水素など)で構成されていると考えられている。しかしながら、これらの軽元素の量や種類は未だにわかっていない。そこで地球核中の水素量を明らかにすべく、放射光施設SPring-8にてX線非弾性散乱実験(BL35XU)とX線回折実験(BL10XU)を行い、FeHの弾性波速度と密度を明らかにした。 高圧発生にダイヤモンドアンビルセルを用い、70GPaという地球深部条件にて測定することができた。得られたFeHの弾性波速度と密度の結果から、地球核中には約0.30wt%の水素が含まれている可能性があることが明らかになった。 今後、さらに精密に核を構成している物質について制約を与えるために、鉄-ニッケル-水素系や鉄-水素-軽元素系といったより地球核に近い系の弾性波速度や密度を測定する。 (2)SiO_2高圧相の含水量測定の研究 SiO_2の高圧相であるstishovite(St)は、Al_2O_3を含むことで0.3wt%程度まで水を含むことができることから、沈み込むプレート中のSiO_2が地球深部まで水を運ぶ可能性が考えられている。地球深部条件ではSiO_2はStからCaCl_2型やα-PbO_2型の高圧相に相転移するが、これらの高圧相が水をどれ程含めるのかはわかっていない。そこで地球深部条件でのAl203を含むSiO_2の相平衡と含水量を明らかにする。SPring-8.8L10XUにてX線回折実験を行い、合成した3.0wt%Al_2O_3-0.3wt%H2O-Stの相同定を行った結果、約15GPaでCaCl_2型に相転移することがわかった。pure-Stは約50GPaでCaCl_2型に相転移することから、Al_2O_3と水が相転移圧力に大きく影響を与えることが確認できた。 今後、CaCl_2型およびα-PbO_2型への相転移を経験したSiO_2を回収し、フーリエ変換型顕微赤外分光光度計(FT-IR)にて含水量を測定していく。それによって、表層の水が沈み込むプレートによって地球内部に運ばれ、SiO_2を介して最終的に核にまで輸送されうるのかを明らかにしていく。
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Research Products
(7 results)