2009 Fiscal Year Annual Research Report
鉄-軽元素合金融体の高圧物性研究:地球核のダイナミクスへの応用
Project/Area Number |
09J04192
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西田 圭佑 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高圧 / 密度 / Fe-FeS系 / 浮沈法 / 放射光 / 超音波法 / 弾性波速度 / 液体 |
Research Abstract |
地球の外核は地震波観測と衝撃圧縮実験の結果から、純鉄に比べ約10wt%密度が小さく、外核は鉄に硫黄、水素、酸素、炭素、珪素などの軽元素が含まれる合金融体であると考えられているが、どの軽元素がどれだけ存在するか明らかになってはいない。我々は以前に硫黄に注目し、4GPaでの鉄-硫黄系融体の密度測定が行った。その結果4GPaでは鉄と硫黄の混合の非理想性が大きくなるため、固体の場合に比べ融体全体の密度を減少するのにより多くの硫黄が必要であることがわかり、外核中に今まで考えられていたよりも大量に硫黄が存在している可能性が示された。しかしながら、これは4GPaのみの結果であり、密度や混合の非理想性の圧力依存性は良く分かっていない。また、外核条件での密度を議論するためには精度良く状態方程式を決定することが重要であり、このためには圧縮の大きい低圧領域で精度よく密度を決定する事が重要である。そこで、本年度は0.5GPaにおけるFe-S系融体の密度を放射光その場観察浮沈法で行った。4GPaにおける密度の組成依存性と比較すると、硫黄の含有量が増えるに従い密度差が大きくなることが分かった。これは硫黄の含有量が増えるに従い、圧縮率が大きくなる事を意味しており、Sanloup et al.(2000)らによって報告されている硫黄の含有量が増えるに従って、等温体積弾性率が減少するという傾向と調和的である。また地球の外核の弾性波速度は溶融鉄に比べ約7%程度速いことから、鉄合金融体の弾性波速度における軽元素の効果を調べることで、軽元素の制約を行うことができる。現在、愛媛大学の河野研究員と共同で高圧下におけるFe-S系合金融体の弾性波速度測定の準備を行っており、22年度中にFe-S系において予備的なデータが取れる段階まで引き上げる予定である。
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