2010 Fiscal Year Annual Research Report
鉄―軽元素合金融体の高圧物性研究:地球核のダイナミクスへの応用
Project/Area Number |
09J04192
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西田 圭佑 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 高圧 / 弾性波速度 / 放射光 / 超音波法 / Fe-FeS系 / 外核 / 液体 / 高温 |
Research Abstract |
溶融状態にある地球の外核は、地震波観測や衝撃圧縮実験から純鉄の密度に比べ約10wt%小さく、鉄-ニッケル合金中に水素、炭素、酸素、硫黄、および珪素などの軽元素が溶解していると考えられているが、どの元素がどのくらいの量含まれているか明らかになっていない。地球の外核の地震波速度は衝撃圧縮実験によって求められた溶融鉄の弾性波速度に比べ約3%程度速いことも報告されており(Brown & McQueen, 1986)、これら密度と弾性波速度に関する二つの条件を満たす軽元素を探すことで、外核中に含まれる軽元素の種類と量を制約することができる。本年度は、はじめにマルチアンビル型高圧発生装置を用いた超音波法による測定技術の習得とFe-S系合金融体での測定に向けた予備実験を行った。次に、大型放射光施設であるSPring-8に萌芽課題「鉄合金融体の弾性波速度測定技術の開発」を申請し、高圧下でのFe-S融体の弾性波速度測定方法を確立する事を目標に実験を行った。高温高圧その場観察実験は、BL04B1ビームライン設置のSPEED-1500を使用して行った。出発組成にFe-S系の共融点組成に近いFe_<60>S_<40>を用いて、圧力を2, 3, 4, 5GPaと変えて弾性波速度測定実験を行った。その結果、見事に5GPaまでの高圧下においてFe_<60>S_<40>融体の弾性波速度測定に成功した。この実験結果からFe_<60>S_<40>融体の弾性波速度は圧力が増加するに伴い、P波速度が上昇することが明らかになった。今後、密度に対して弾性波速度がどのように変化するか明らかにし、地球外核中の硫黄量を推定する予定である。来年度はさらに高い圧力下での弾性波速度測定を予定している。また、この結果は学会発表ならびに論文として投稿する予定である。
|
Research Products
(4 results)