2009 Fiscal Year Annual Research Report
側鎖にフルオロアルキル基を有するポリマーブラシの表面分子鎖凝集構造の精密制御
Project/Area Number |
09J04278
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山口 央基 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ポリマーブラシ / フルオロアルキル基 / 分子鎖凝集構造 |
Research Abstract |
日本学術振興会特別研究員採用1年目に当たる本年度は,側鎖フルオロアルキル(R_f)期基の炭素数が異なる種々のアクリレートおよびメタクリレート系のポリマーブラシ薄膜を調製することに成功し,また,そのポリマーブラシ薄膜の分子鎖凝集構造評価を大型放射光施設内の表面X線回折測定装置を用いて行った.その結果,側鎖長の長さやポリマー主鎖の構造により分子鎖凝集構造が異なることが示唆された.また,X線の試料に対する照射角度を変化させてX線の試料への侵入深さを制御できることを利用し実験を行うことで側鎖R_f基の鎖長が8である{poly(perfluorooctyl)ethylacrylate}(PFA-C_8)ポリマーブラシ薄膜の最表面と基板近傍のポリマー鎖の分子鎖凝集構造が異なることが明らかとした.今回のように統計的にフッ素系のポリマーブラシ薄膜を調製した例はなく,今後分光エリプソメトリーや水平力顕微鏡観察、誘電緩和測定を用いて詳細な実験を行うことで,表面分子鎖凝集構造と表面物性の関係を解明する. また,米国のStony Brook大学との共同研究で次世代の新規な溶媒として注目されている超臨界二酸化炭素(scCO_2)中でのPFA-C_8ポリマーブラシ薄膜の分子鎖凝集構造を検討した.実験には中性子反射率測定法を用いた.その結果,CO_2の圧力増加に伴い,ポリマーブラシ薄膜の膜厚も増加し,測定した最大圧力時には通常時の約2.2倍にポリマー鎖が膨潤していることが明らかとなった.これまでバルク状態でCO_2が貧溶媒のポリマーで同様の実験をしている例は見られるが,CO_2と親和性の高いポリマーでの実験はなされておらず,新規性を有する結果である.今後,CO_2浸漬前後での凝集状態の評価を表面X線回折測定により行い,また,表面物性の評価を接触角測定や原子間力顕微鏡等を用いて行う.
|