2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J04351
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
丸山 剛 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ERストレス / アポトーシス / 口腔癌 / IRE1 / UPR / JNK |
Research Abstract |
発癌と小胞体ストレス誘導性アポトーシスシグナルに関する検討 癌細胞における小胞体ストレス回避機構を解明する上で、小胞体ストレスによって惹起されるシグナルは、ASK1を介するシグナルが知られている。これまでに、ERストレスによって、ASK1が活性化され、その下流のJNK経路を介してアポトーシスを引き起こすことを報告してきた(Nishitoh Genes Dev.2002)。しかしながら、小胞体ストレスを回避する上で、予想される機構として、アポトーシスを誘導するJNK経路の遮断だけでなく、これまで癌と関連が深いと報告されているERK経路の重要性についても検討しているところである。すなわち、ERストレス刺激によって、ERK経路などが惹起されるか、またさらに、これら刺激によって引き起こされるUPR(小胞体ストレス応答)とERKとは関連があるのかなどを検討している段階である。今後、小胞体ストレスとJNK経路およびERK経路の活性化のバランスが癌化にどのような影響を及ぼすかを検討する予定である。 小胞体膜上遺伝子による細胞死シグナル伝達様式に関する検討 これまでに、IRE1がアポトーシスに関連することは、先述の通り、報告されている。しかしながら、小胞体膜上には様々な分子があり、いまだ機能が未解明な分子も多く存在する。その中でも、Derlin-1も小胞体膜上タンパク質であり、ERストレスによるアポトーシスに関連していることを報告してきた(Nishitoh Genes Dev.2008)。この分子は、3つの分子、Derlin-1、2、3でファミリーを形成しており、複合体を形成している。しかしながら、Derlin-2、3の機能は、ほとんど解明されていない。これら機能未知の分子がERストレスと細胞の癌化に関与している可能性もある。そのため、これら分子の機能解明により、ERストレスにより惹起されるシグナルのより詳細な解析は重要であると予想される。現在では生化学的解析に必須であるDerlin-3の抗体などを作製している段階である。
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