2009 Fiscal Year Annual Research Report
乳酸菌による腸管バリア機能保護メカニズムの解明とそれを意図する機能性食品の創製
Project/Area Number |
09J04384
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮内 栄治 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 腸管上皮細胞 / バリア機能 / T細胞共刺激分子 / 乳酸菌 / ビフィズス菌 |
Research Abstract |
腸管上皮細胞のタイトジャンクション(TJ)バリア機能は、TNF-αやIFN-γなどの炎症性サイトカインにより低下する。従って、腸管の炎症性サイトカイン発現を抑制することは、腸管バリア機能保護に非常に有効である。我々は新規に、炎症性サイトカインIL-17がTNF-αによるバリア機能低下作用を相乗的に亢進することを見出した。炎症性腸疾患におけるIL-17などの炎症性サイトカイン産生亢進の機序を解析した結果、腸炎モデルマウスであるDSS大腸炎マウスの腸管上皮細胞(IEC)が、T細胞からのIL-17、IFN-γ産生を誘導することが明らかとなった。大腸炎マウスのIECはCD4+T細胞からのIL-17、IFN-γ産生が誘導されることから、Th17/Th1の分化が誘導されることが示唆された。またこの作用は、IECからの分泌物によるものではなく、IEC/CD4+T細胞の直接接触が必須であった。腸炎マウスのIECの遺伝子発現解析を行なったところ、CD80などのT細胞共刺激分子の発現量が亢進していた。さらに、阻害抗体を用いた解析により、CD80/CD86-CD28、CD40-CD40L結合による共刺激シグナルがTh17/Th1分化誘導に寄与していることが示された。Bifidobacterium longumを大腸炎マウスに経日投与したところ、IECのT細胞共刺激分子発現が抑制された。これにより、大腸炎マウスIECによるTh17/Th1誘導能が減弱した。B.longumは、TNF-αまたはIFN-γで刺激したヒト腸管上皮様HT29細胞のT細胞共刺激分子発現を抑制した。このことから、B.longumはIECに直接作用してT細胞共刺激分子の発現を制御することが示唆された。乳酸菌・ビフィズス菌は、IECを介してIL-17、FN-γ産生を抑制し、腸管バリア機能低下を抑制する可能性が見出された。
|