2010 Fiscal Year Annual Research Report
配位高分子による分子配列制御を用いた非水系プロトン伝導体の創製
Project/Area Number |
09J04405
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
貞清 正彰 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プロトン伝導 / 配位高分子 / 水素結合 |
Research Abstract |
ブタンジホスホン酸およびプロパンジホスホン酸を用いて配位高分子の合成を継続的に行ったが現在のところ二次元化合物の生成は確認させていないため、引き続き水熱合成によるスクリーニングを行っている。一方で、ホスホン酸、スルホン酸という強酸を用いた場合にのみ、結晶の生成が見られないことからシュウ酸配位子よりも飛躍的に酸性度の強いビ四角酸を配位子に用いた合成を行うために、ビ四角酸配位子の合成を行った。同定は粉末X線回折、NMR測定、元素分析によって行った。 アジピン酸を用いた配位高分子(NH_4)_2(adp)[Zn_2(ox)_3]・3H_2Oのプロトンダイナミクスを解明するために、中性子準弾性散乱の測定を行った結果、プロトンの局所的な運動モードに関する散乱を観測することに成功した。また、これまでに合成に成功しているカリウムイオン置換体K_2(adp)[Zn_2(ox)_3]・3H_2Oにおいては、乾燥時の構造決定に成功し、アンモニウム体と同一の構造であることを明らかにし、水素結合ネットワークを限定的に制御してプロトン伝導性に影響を与えることができた稀な例であることを見出した。 さらに、非水系伝導媒体として、水以外のアンモニアや、アルコール、その他の吸着質に対する吸着特性の評価を行った。アンモニア-アンモニウム縮退系の構築が期待できるジアンモニウム体(H_3N(CH_2)_4NH_3)[Zn_2(ox)_3]を用いた。アンモニア吸着では、~12kPaで3分子の吸着が観測され、縮退系が構築されていることが示唆された。その他の吸着質に関しては、サイズや極性によらず、2箇所以上で同時に水素結合が可能である水酸基をもった分子のみを選択的に吸着することが分かり、水素結合を用いた配位高分子では初めて官能基認識を実現することに成功した。
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