2009 Fiscal Year Annual Research Report
貧栄養海域における微量栄養塩濃度の時空間分布と植物プランクトン栄養塩利用能
Project/Area Number |
09J04480
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
児玉 武稔 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 栄養塩 / 植物プランクトン / 南太平洋 / インド洋 / 生物海洋学 / 窒素固定 |
Research Abstract |
今年度は4~7月にかけての「みらい」MR09-01航海、9月の「淡青丸」KT-09-17次航海、11~1月の「白鳳丸」KH-09-5次航海の3航海に参加し、栄養塩の高感度測定法を用いた解析を中心に研究を進めた。MR09-01航海では、観測例がほとんど無く、知見の空白域である南太平洋を観測した。その結果、海面のリン酸塩と硝酸塩の分布には東西方向の勾配があり、共に東部が高いこと、さらに両者の比も同様に東部で高いことが明らかになった。この結果から、潜在的に生物生産は東部でより強い窒素個性源を受ける可能性と西部でリン酸塩の消費が進んでいることが示唆された。次に、KT-09-17次航海では、宮古島周辺海域を観測し、湧昇を考えられる高栄養塩水塊が島周辺で観測された一方、ケイ酸塩以外は高感度分析法でも検出できない超貧栄養海域も存在し、空間的な不均一性が認められた。その超貧栄養海域内では、大型窒素固定生物Trichodesmiumのブルームが観測され、窒素固定による活発な栄養塩の消費が示された。最後にKH-09-5次航海では、主にインド洋東部を南北方向に観測した。その結果、硝酸塩、アンモニウム塩は数nMまで枯渇していたが、アラビア海、ベンガル湾、40°S以南の亜熱帯収束線付近ではパッチ状に高く、地理的変動が認められた。リン酸塩は枯渇域が存在せず、最も低い30°S付近でも数十nM、残存していることが明らかになった。以上より、本年度の成果は研究空白域での知見を得たこと、とりわけ太平洋とインド洋とでは海盆スケールでの栄養塩の地理的分布が異なっていることが明らかになったことが挙げられる。今後、生物試料の解析を進め、栄養塩と植物プランクトンの変動との関係を明らかにする。
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Research Products
(9 results)