2010 Fiscal Year Annual Research Report
反ニュートリノの方向測定に向けたリチウム含有液体シンチレータの開発
Project/Area Number |
09J04492
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 寛子 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 素粒子実験 / ニュートリノ / 液体シンチレータ / 光検出器 / 到来方向測定 / リチウム / KamLAND |
Research Abstract |
〈研究目的〉 低エネルギー反ニュートリノの到来方向を測定出来る検出器の開発を目指す。 〈研究実績〉 液体シンチレータにニュートリノ事象の到来方向の感度を持たせる為に、^6Liを液体シンチレータに導入し中性子捕獲点の決定精度を大幅に向上させる。更に位置分解能1cm以上での測定を実現する為、光学レンズと位置検出素子を組み合わせたイメージング検出器の開発を行う。 ●^6Li含有液体シンチレータ 1.濃縮^6Li化合物 入手できた炭酸^6Liを本研究で用いる臭化^6Liに転換する作業を業者に委託し、200Lサイズ検出器に十分な4.5kgの濃縮^6Li化合物を保有出来た。 2.大型化に向けた改良 非常に稀な事象の地球ニュートリノを対象にした場合、1000tクラスの大型検出器が必要である。本研究で独自に開発したリチウム含有液体シンチレータを更に改良し、大型化を視野に透過率や発行量の改善を行った。有機溶媒の最適化、水分の脱水の効果をガスクロマトグラフィーを用いた成分分析で定量的に見積もった。 ●イメージング検出器 1.新イメージインテンシファイア(I.I.)の動作確認 前年度に使用していたI.I.は大口径という利点があったが、入射窓表面での光のロスが大きく増幅率が不十分という難点があった為、本年度は目的に合ったI.I.を購入し実験を重ねた。^<60>Coをγ線源とし鉛でコリメートして位置分解能を測定したところ1cmを達成し、目標分解能を得ることが出来た。 2.レンズアレイの設計 新I.I.は口径が2.5cmと小さいので、より大きな領域の像をI.I.表面に集光するレンズアレイの設計を行った。一度集光した光を再びレンズに通し集光領域を稼ぐ方法を取り3cm角の領域にピントを合わせて信号を取得出来た。 前年度に行った国際学会での発表をきっかけに本年度は国際学会での招待講演を行った。平行してKamLANDのデータを用いた原子炉ニュートリノ振動解析の結果を論文にまとめ、PRDに受理された。更に来年度中に開始する二重ベータ崩壊実験のバックグラウンドと検出感度の見積もりを行い、世界最高レベルの検出感度をもつ検出器のデザインを決定した。
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