2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J04584
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中尾 亮 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 心水症 / E.ruminantium / LAMP法 / MLVA法 / VNTR / 弱毒ワクチン株 / 次世代シークエンサー / ゲノム比較解析 |
Research Abstract |
本研究では、ゲノム関連技術を心水症の予防・制圧に応用することを目的とし以下の成果を得た。 (1)迅速かつ簡便な遺伝子診断法としてE.ruminantiumを特異的に検出するLAMP法を開発した。Superoxide dismutase B(sodB)遺伝子領域をターゲットとしたLAMP用プライマーを設計し、一反応中5コピー以上の遺伝子を60分以内に検出することが出来た。地理的に由来の異なる分離株との反応性を確認し、アフリカ諸国由来の野外サンプルを用いた試験では、既存のPCR法よりも多くの陽性サンプルを検出した。今後、診断設備の乏しい途上国の心水症流行地での応用が期待できる。 (2)Variable Number of Tandem Repeat(VNTR)をマーカーとする、MLVA法によるE.ruminantium多型解析法を開発した。地理的に由来の異なる分離株を用いた探索の結果、11個のVNTRを多型マーカーとして検出した。さらに、蛍光プライマーを用いたマルチプレックスPCRで、各VNTRを短時間で評価できる多型解析法を開発した。今後、疾病サーベイランス、ワクチン株の選定等に応用されることが期待される。 (3)次世代シークエンサーを活用してE.ruminantium強毒株、弱毒ワクチン株の全長ゲノム比較解析を行った。その結果、弱毒ワクチン株に特異的な変異として、主要抗原タンパク(map1)の欠損、複数の遺伝子(mutS、hupB、pyrH)でアミノ酸変化を伴うSNP、トランスポーター遺伝子(proP)で一塩基挿入によるフレームシフトによりアミノ酸の構造変化を突き止めた。これら弱毒ワクチン株に特異的に見られた変異に注目することで、E.ruminantiumの病原性因子の解明と効果的なワクチン開発に応用されることが期待される。
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