2009 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的解析を用いた神経幹細胞からアストロサイトへの運命決定機構の解明
Project/Area Number |
09J04587
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 明 Kyoto University, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 神経幹細胞 / アストロサイト / Maz / CK2 / iPS細胞 |
Research Abstract |
私は、神経幹細胞からアストロサイトへの運命決定における分子メカニズムについて研究を行っている。これまでにDNAマイクロアレイとin silico転写因子予測法を用いた、アストロサイトの分化誘導因子のスクリーニングを行った。そこで、候補として挙がった転写因子MazをshRNAによりノックダウンしたところ、s100a4というアストロサイト特異的遺伝子の発現が抑制された。また、MazにはCK2によるリン酸化によりDNA結合能が変化するということが既に報告されていたため、CK2阻害剤を用いてアストロサイト分化への影響を調べたところ、Mazの結合配列をプロモーター領域にもつ遺伝子群というよりも、アストロサイト特異的遺伝子群の発現が全体的に抑制されるという興味深い現象を見出した。そこで、CK2がアストロサイト特異的遺伝子の発現をどのように制御しているのかを詳細に検討したところ、CK2がSTAT3のSer727のリン酸化を制御し、STAT3標的遺伝子の転写を促進していることがわかった。 さらに私は、神経幹細胞が胚発生の進行に伴ってアストロサイトへ分化するポテンシャルを獲得するという現象に興味を持っている。近年、神経幹細胞にリプログラミング因子(Oct3/4、KIf4、Sox2、c-Myc)を導入することでiPS細胞を樹立したという報告がされたが、私は、発生(=分化)とリプログラミングの両方の側面からアプローチすることにより、上記の現象を解明することができるのではないかと考えた。そこで、自分自身でも神経幹細胞からiPS細胞を樹立する系を確立し、さらには、これまでに報告のないアストロサイトからのiPS細胞樹立にも成功した。今後は、リプログラミングの過程におけるグローバルな遺伝子変化やクロマチン構造の変化をDNAマイクロアレイやChIP-on-chipを用いて解析する予定である。
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Research Products
(1 results)