2010 Fiscal Year Annual Research Report
共感的自己なだめによる感情調整プロセス:課題分析に基づく心理療法プロセス研究
Project/Area Number |
09J04717
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
伊藤 正哉 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所成人精神保健研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 心理療法 / 感情 / 自己静穏 / プロセス研究 / 悲嘆 / 感情調整 |
Research Abstract |
本研究の目的は心理療法中の感情調整過程を明確化することであり、特に、共感的自己なだめ(現在では「自己静穏」と用語を変更)というプロセスがどのように展開するのかを明らかにすることであった。本年度は、心理療法統合を考える学会(Society for Exploration of Psychotherapy Integration)の国際大会などのシンポジウムやポスターにて成果発表を行った。また、家族心理学年報には前年度の研究で用いた課題分析についての論文を投稿し、掲載される予定である。 本年度は、前年度の知見を日本人に応用する研究を進展させてきた。前年度の知見を踏まえ、自己静穏の介入マニュアルを作成した。これに基づき、一般健常大学生や大学院生を対象として、自己静穏の過程を促す介入の安全性や有効性を検討した。この研究はお茶の水女子大学の岩壁茂准教授と共同で実施している。全てのセッションは録音と録画をしており、これらのデータを分析する予定である。 さらに、感情調整プロセスが密接に関係すると考えられる複雑性悲嘆(Complicated Grief)についての研究も行っている。この研究は国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所成人精神保健研究部犯罪被害者等支援室長の中島聡美室長と共同で行っている。具体的には、複雑性悲嘆の有病率の調査や、複雑性悲嘆に関連する要因の同定、複雑性悲嘆治療の介入研究などを行ってきた。有病率や関連する要因については既に調査を終えており、分析と論文執筆を進めた。関連要因には感情調整過程にかかわる変数に注目して分析を進めた。複雑性悲嘆治療は毎週、約90分のセッションを16回にわたって実施する心理療法である。この治療においては、毎週治療前に感情状態のデータを収集した。将来的にはこれらのデータを用いて感情状態と治療の効果との関連を検討する予定である。
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Research Products
(9 results)