2011 Fiscal Year Annual Research Report
共感的自己なだめによる感情調整プロセス : 課題分析に基づく心理療法プロセス研究
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09J04717
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
伊藤 正哉 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所・成人精神保健研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 心理療法 / 感情 / 自己静穏 / プロセス研究 / 悲嘆 / 感情調整 |
Research Abstract |
本研究は、心理療法中の感情調整である「共感的自己なだめ(現在は自己静穏と用語を変更)」のプロセスの明確化を目的としていた。この研究課題は、当初想定していた心理療法プロセス研究のみならず、複雑性悲嘆における感情調整の研究や、より幅広い観点から感情調整を測定する尺度の開発という発展に至った。そのため、本年度は三つの目的を設定していた。第一に、自己静穏の介入マニュアルを作成し、これを用いて自己静穏介入の有効性を検討することを目的とした。本年度はマニュアルの作成を終え、幾つかの事例に対してその介入手順に沿って検討した。現在、結果については分析中である。さらに、感情調整に注目する認知行動療法の統一プロトコルを取り上げ、この介入法の日本への導入を検討してきた。第二に、複雑性悲嘆の感情調整プロセスを検討することを目的とした。本年度は、その一環として、複雑性悲嘆のスクリーニング尺度の妥当性に関する研究を、国際的なオンラインジャーナルに発表した。また、複雑性悲嘆の臨床研究を実施してきた。第三に、前年度までの研究で明らかになった知見をもとにして、その知見を検証する質問紙調査を実施した。具体的には、感情調整過程の"忍耐性Tolerance"の重要性が前年度までの研究で示唆されたことから、この側面を測定するAffective Style Questionnaireを翻訳して、その尺度の妥当性を検討した。この尺度を用いて、忍耐性を含めた感情調整が精神健康に影響を検討するために、大学生1000名以上を対象に質問紙調査を実施した。この研究は、ボストン大学のStefan G. Hofmnann教授とともに共同研究を進めてきた。以上の検討から、感情調整過程の一部が明らかにされたとともに、この過程に着目した心理療法の適用に向けての示唆が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初設定していた目的についての研究を着実に進行させてきた。分析や成果の発表が本年度中に達成できなかった点では必ずしも十分な達成度とは言えないものの、当初計画していた以上に幅広く多角的な観点から研究課題について検討できたため、おおむね順調に進展したと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、感情調整に着目した心理療法的介入の有効性を、臨床研究により検討することが望まれる。
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Research Products
(15 results)