2010 Fiscal Year Annual Research Report
味細胞系譜を特徴づける新規シグナル遺伝子の解析と味覚分子マーカーの開発
Project/Area Number |
09J04908
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒川 あずさ 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | taste / microarray / in situ hybridization |
Research Abstract |
本研究では、モデル生物の味蕾や味神経、またその対照組織における遺伝子発現解析データを用いて味蕾の機能に関わる新規分子を取得し、またその機能解析を行うことにより、味覚のメカニズムを解明することを目的とする。とりわけ、塩味の受容伝達機構に焦点を絞って解析を行っている。 DNAマイクロアレイ解析を用いて特定の味を受容する味蕾細胞に特異的に発現する遺伝子のデータを取得し、その細胞特異的な発現をRT-PCR,舌切片を用いたin situ hybridizationや免疫染色などの組織染色により確認した。既知の味覚受容体・シグナル分子と二重染色を行ってその発現相関を調べ、複数の遺伝子が既知の味覚受容体を発現しない細胞群、すなわち塩味受容細胞として最も有力視される細胞群に発現することを示した。さらにデータベースサーチを行うことにより得られた遺伝子の機能予測を行い、得られた新規遺伝子の1つが塩化物イオンチャネルであることを見出した。この遺伝子のファミリーについても味蕾での発現を検証したところ、味蕾細胞種ごとにファミリー内の異なる遺伝子が発現し、細胞種によって機能を使い分けていることが示唆された。野生型マウスを用いてこのチャネルの阻害剤を各種の味溶液に加えて味溶液に対する応答の変化を観察する実験を行ったところ、高濃度の塩味に対する応答の一部を阻害するという結果を得た。塩味については味情報受容伝達のメカニズムに不明な点が多く残されており、その解明の一端となる知見である。今後、塩味の増強物質の開発など食品分野・医療分野への応用が期待できると考える。
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Research Products
(1 results)