2011 Fiscal Year Annual Research Report
III族窒化物/炭化珪素界面制御による高性能ヘテロ接合バイポーラトランジスタの実現
Project/Area Number |
09J05047
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三宅 裕樹 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | SiC / バイポーラトランジスタ / ゲイン / AlGaN / ヘテロ接合 / HBT |
Research Abstract |
SiCバイボーラトランジスタ(BJT)の性能向上に向けて、電流増幅率(ゲイン)の向上に取り組んだ。また、SiC BJTのさらなるゲイン向上に向けて、III族窒化物(AlGaN)をワイドギャップエミッタとして用いた、AlGaN/SiCヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)に取り組んだ。SiC BJTでは、p-SiCベース層での再結合(バルク再結合)を低減する新プロセスを考案した。具体的には、点欠陥低減に重要な、熱酸化と高温熱処理プロセスを組み合わせた、深い準位低減プロセスを提案し、SiC BJTに適用した。この新プロセスに加えて、ベースからエミッタまでの連続成長による界面再結合低減手法、および表面パッシベーション技術を組みあわせることで、従来の記録を大幅に上回る室温ゲイン257(Si面上)および439(C面上)を達成した。AlGaN/SiC HBTでは、AlGaN/SiC系特有の、化学結合の不整合に着目し、界面再結合電流低減、ゲイン向上に取り組んだ。SiC(0001)面上にAlGaNを成長した場合、Si-N結合ができ、化学結合の不整合が生じる。この不整合を中和すべく、AlGaN成長前のSiC表面への、CまたはSi先行照射を試みた。CおよびSiの先行照射は通電加熱式昇華セルを用いて行い、堆積したC,Siの膜厚をin-situ RHEED観察により制御した。作製したHBTのゲインは、先行照射を行わない場合、5程度であったが、2/3MLのCまたはSi堆積によって、ゲインは6.1へと改善した。一方、1MLのC堆積では2.5へ低下した。現実的には、AlGaN/SiC界面で、Al-C結合生成以外に、CがAlGaN中に取り込まれて高抵抗化することがわかり、ゲインの大幅向上は達成できなかったものの、C 2/3MLの特性では、特性改善の傾向が見られており、意図していた化学結合不整合の解消が起こったと考えている。
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