2010 Fiscal Year Annual Research Report
イオン濃度と電極をあらわに考慮した酸化還元反応の理論的研究
Project/Area Number |
09J05094
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
飯田 健二 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イオン化 / RISM-SCF / 固液界面 / 2D-RISM / Surrogate / SSSV / ダイナミクス / 円筒座標系 |
Research Abstract |
本年度はまず、酸化還元電位を決定づける物理量であるイオン化ポテンシャルについての理論的研究を行った。近年、水中でのイオン化ポテンシャル及びそのスペクトル幅についての実験値が報告された。水中でのイオン化ポテンシャルは真空中とは大きく異なること、溶媒和によりスペクトル幅が広がることが明らかとなった。そこで、液体の積分方程式理論であるRISM方程式と電子状態計算を組み合わせた方法であるRISM-SCF-SEDD法を用いてイオン化における溶媒和の役割について検討を行った。その結果、垂直イオン化において溶媒の電子分極が重要な役割をしていること、及びスペクトル幅が線形応答の枠組みで記述できることが明らかとなった。 ついで界面における溶媒和を記述するための理論開発を行った。実験や理論計算から、固液界面での溶媒和について、分子レベルの相互作用の重要性が示唆されている。RISM方程式をもちいた分子液体を含む系についての研究は多く行われているが、固液界面の溶媒和についての研究は少ない。そこで、固液界直近傍での溶媒和を記述するために円筒座標系を導入し、角度方向を平均化することで、界面に垂直な方向と水平な方向の2次元(2D)の溶媒和構造を記述する2D-RISM理論の構築をした。さらにPolymer RISM方程式の枠組みと2D-RISM理論の枠組みを融合することで、固液界面の溶媒和構造を記述する新規RISM理論を開発した。これにより界面近傍での溶媒和についての静的性質について分子論的に記述することが可能となった。次に固液界面における溶媒和の動的性質を調べるために分子性液体の拡散方程式であるSSSV方程式と線形応答理論に立脚したSurrogate Hamiltonianを用いて固液界面における溶媒和構造の時間発展を記述する方程式を開発した。
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Research Products
(3 results)