2009 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスを鋳型とする金属ナノ粒子の三次元配列化と光集積への応用
Project/Area Number |
09J05191
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
永川 桂大 Hokkaido University, 大学院・理学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ウイルカプセル / 表面プラズモン / 金ナノ粒子 / ナノ粒子配列 / 金属析出反応 / ウイルスセンシング |
Research Abstract |
金や銀のナノ粒子に光を照射すると光が表面プラズモンと共鳴し、局所的な増強電場が発生する。特に複数の粒子が数nmで近接した場合、その間隙において入射光電場の1万倍以上にも及ぶ電場増強が誘起される。増強場の形成は、表面増強ラマン散乱を原理としたセンシング素子、あるいは電場増強場で特異的に進行する新しい化学反応の開拓など広い応用が期待されている。本研究は申請者がこれまでに作製してきたウイルスカプセル表面での金属ナノ粒子の配列化を三次元配列にまで展開し、その内部空間に局所的な光電場を形成させることを目的とした。 今年度の研究実施計画に基づき、金ナノ粒子の粒径による配列の違い、あるいは既存の糖鎖認識による結合だけでない種々の結合様式を用いた金ナノ粒子の配列について検討した。糖鎖認識による結合において金ナノ粒子の粒径を5nm・10nm・15nm・20nmと変化させると吸収スペクトルにおいて有意な差が見られ、TEM画像においても粒径に依存した構造体が観察された。この結果はウイルスと金ナノ粒子で得られたナノ構造体の光学特性が、金ナノ粒子の配列に依存していることを示唆している。さらに、直径15nmの金ナノ粒子が最大のプラズモンシフトを引き起こすことが見出されたことから、15nmの糖鎖提示金ナノ粒子を用いた高感度なウイルスセンシングの系へと発展可能であると考えられる。また糖鎖認識による結合に限らず、ウイルスカプセル表面のアミノ酸残基を利用した金ナノ粒子の配列化についても検討を行った。カプセル表面に数多く存在するチロシン残基が金イオンをキレートする性質を利用し、カプセル表面で誘起された"めっき"(金属析出反応)について検討を行った。金イオンの添加濃度、還元剤の種類、還元時間やpH等を調整することで、金ナノ粒子の構造体由来と考えられる600-700nmの波長域において吸収特性があることが見出された。
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Research Products
(4 results)