2010 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスを鋳型とする金属ナノ粒子の三次元配列化と光集積への応用
Project/Area Number |
09J05191
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
永川 桂大 北海道大学, 大学院・理学院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ウイルスカプセル / 表面プラズモン / 金ナノ粒子 / 再集合 |
Research Abstract |
金や銀のナノ粒子に光を照射すると光が表面プラズモンと共鳴し、局所的な電場が発生する。特に複数の粒子が数nmで近接した場合、その間隙において入射光電場の1万倍以上にも及ぶ電場増強が誘起される。増強場の形成は表面増強ラマン散乱を原理としたセンシング素子、あるいは電場増強場で特異的に進行する新しい化学反応の開拓など幅広い応用が期待されている。本研究は申請者がこれまでに作製してきたウイルスカプセル表面での金ナノ粒子の配列化を三次元配列にまで展開し、その内部空間に局所的な光電場を形成させることを目的とした。 今年度の研究実施計画は表面増強ラマン散乱の測定を主としていたが、多様な構造体を形作るウイルスタンパク質の自己集合能に着目し研究を行った。本研究で取り扱うヒトを宿主とするヒトポリオーマウイルス、JC virusの感染能に注目すると、その粒子形態を制御可能とする事で細胞への感染効率を支配する事ができ、増強された光電場を細胞内へ効率よく導入できると期待される。In vitroにおけるJCウイルスタンパク質VP1の再集合能を塩濃度、カルシウム濃度、pH等のバッファー条件を変えて検討した結果、pH7.4、カルシウム濃度を含まず、塩濃度が数百mMというバッファー条件がウイルスタンパク質の再集合に最適であることがわかった。また再集合で形成されるウイルス粒子は大腸菌から回収される直径40nm、ウイルス構造学でいうT=7dのウイルスカプセルではなく、直径20nmのT=1構造をとる事が電子顕微鏡の観察から認められた。さらに、このIn vitroにおける再集合能を利用する事で金ナノ粒子の内包に成功した。T=1のウイルスカプセルの内径に一致する直径5nm、10nmの金ナノ粒子でのみ内包が観察される一方で、15nm、20nmの金ナノ粒子では内包が観察されなかった。この事は金ナノ粒子の内包が自己集合能に依存していることを示唆している。現在、金ナノ粒子内包において電荷あるいは親・疎水性というパラメーターを振る事で、内包効率を支配する要因を検討している。
|
Research Products
(4 results)