2011 Fiscal Year Annual Research Report
イネ冠根形成の分子機構解明とその根系形態改良への応用
Project/Area Number |
09J05221
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木富 悠花 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イネ / 冠根 / 発生分化 / オーキシン / サイトカイニン / 突然変異体 |
Research Abstract |
本研究課題では、最適環境下におけるイネのさらなる多収化および節水栽培に適した品種育成を目指し"根の発生量の改変"を試みている。そのために申請者らは、イネの根系を特徴づけているひげ根(冠根)の数が著しく減少するcrownrootless(crl)変異体を用いた冠根形成メカニズムの解析を進めている。その中でもCRL5遺伝子は冠根数を人為的に制御する上で重要な遺伝子であると推測され、このCRL5の関与する経路はどの植物種においても報告されていない新たな根系形成経路であることが判明している。また、CRL5とそのホモログはイネの根の形成において冠根特異的に機能することが示唆され、この経路上で機能する遺伝子を明らかにすることで根の形成に関与する新たな因子を見出すことができると期待された。 前年度までの研究により、CRL5はオーキシンシグナル伝達経路上でARFによってその発現を直接制御され、そして冠根形成を抑制するサイトカイニンシグナルを負に制御するOsRR1を正に制御することで冠根形成を促進していることが明らかになった。ところがcrl5変異体においてOsRR1をCRL5プロモーター制御下で発現させた形質転換個体では有意な冠根数の増加が観察されたものの、野生型の冠根数に比べるとその数は有意に少なかったため、CRL5の下流にはOsRR1以外にも冠根数の増加に関与する因子が存在すると示唆された。そこでマイクロアレイにより野生型と比較してcrl5変異体で発現量が2分の1以下に低下している遺伝子を選抜し、その候補遺伝子の中からDNA beads display systemによりCRL5タンパク質と直接相互作用する遺伝子の探索を試みた。この解析により、3つのCRL5直下候補遺伝子を見出すことができた。これらの候補遺伝子の中にもサイトカイニンによる冠根発生阻害作用を結果的に抑制する因子が含まれており、このことからもCRL5は冠根の発生において発根促進作用を持つオーキシンと発根阻害作用を持つサイトカイニンの相互作用を仲介する重要な遺伝子であると考えられた。
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Research Products
(6 results)