2010 Fiscal Year Annual Research Report
ホメオチック遺伝子による脂肪由来幹細胞の分化制御機構の解明と治療への応用
Project/Area Number |
09J05224
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 雅樹 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD) (10602625)
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Keywords | 肥満 / 糖尿病 / 幹細胞 / Hox遺伝子 / メタボリックシンドローム / インスリン抵抗性 |
Research Abstract |
ホメオチック遺伝子により組織幹細胞の分化や発生が制御されている可能性を仮説とし、組織幹細胞におけるホメオチック遺伝子の機能解析を行った。ホメオチック遺伝子の1つであるHoxc8が、脂肪幹細胞に強く発現していることを見出し、その役割の検討を進めた。Hoxc8は未分化な脂肪幹細胞では強く発現しているが、分化すると発現を失う。また、Hoxc8を、ウイルスベクターを用いて脂肪幹細胞に導入すると、未分化状態が維持され分化培地による分化誘導に対して抵抗性となった。Hoxc8の重要性を個体レベルで検証するため、脂肪組織特異的にHoxc8がノックダウン(発現抑制)されるトランスジェニックマウスを樹立した。このマウスは、高脂肪食負荷条件下においても、肥満になりにくいというフェノタイプを呈した。さらに、野生型に比べ、ブドウ糖代謝能が高く、糖尿病やインスリン抵抗性になりにくいことが分かった。これらの知見は、脂肪組織内に存在している幹細胞を標的とすることで、肥満や糖尿病の新規治療法が開発できる可能性を示す。インスリン負荷テスト、グルコール負荷テスト、血清インスリン濃度測定、食餌摂取量測定、日内運動量測定、酸素消費量、二酸化炭素消費量、呼吸商、エネルギー消費量についての代謝能検査を施行した。また、このマウスにおいて、組織幹細胞の局在、発現遺伝子の変動、脂肪幹細胞の数の評価を行った。結果、この遺伝子改変マウスは、肥満や糖尿病に抵抗性を示すことが明らかとなり、詳細な分子機序の検討の結果、Hoxc8遺伝子と、Hoxc8の発現調節するマイクロRNAが重要な役割を持つことを明らかにした。
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