2010 Fiscal Year Annual Research Report
CXCR4拮抗剤を基盤とする新規二価結合型癌転移抑制剤の開発
Project/Area Number |
09J05336
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田中 智博 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | CXCR4 / 二価型リガンド / 癌細胞 / ポリプロリンリンカー / 環状ペンタペプチド / GPCR / 二量体 / がん転移抑制剤 |
Research Abstract |
本申請内容において、申請者はCXCR4リガンドとインテグリンα_v β_3リガンドのハーイブリッド分子の創製を提案した.しかしながら、ハイブリッド分子の合成は困難であるため、まず申請者は癌細胞表面に過剰発現しているCXCR4二量体を標的としたホモ二価結合型リガンドを創製し、それらを用いて実際に二価型リガンドが受容体の発現数に応じた細胞を認識するのかどうかを検討した、CXCR4を含む多くのGPCRは構造が明らかでないため、二量体構造に対して適切なリガンド間の距離を保つ二価結合型リガンドの理論的な構築は困難であった。そこで、CXCR4結合リガンドである環状ペンタペプチド(FC131)を堅固な構造を有するポリプロリンリンカーで架橋した二価結合型FC131誘導体を設計・合成した,ポリプロリンリンカーの長さは一定に保たれているため、適切なリガンド間距離の場合に結合親和性の増大がみられると考えられた。CXCR4結合活性を評価した結果、リガンド間距離が55-6.5nmの場合に二価型結合形成による相乗的な結合活性の上昇が見られた。この結果に基づき、高い結合活性が得られた二価型リガンドを用いて細胞上のCXCR4に対する認識活性を評価した.これらの結果より、二価結合型リガンドのCXCR4高発現細胞に対する認識活性の高さが示された。さらに、CXCR4発現量の異なる3種の細胞におけるフローサイトメトリーを用いた解析から、二価結合型リガンドはCXCR4発現量依存的に細胞を認識することが明らかとなった。そこで、蛍光基修飾型二価結合型リガンドのがん細胞選択的な作用を評価するため、正常細胞であるHUVEC及び肺がん細胞A549を用いたイメージング実験を行った。その結果、二価型リガンドはがん細胞選択的な認識を示した.現在、二価型リガンドの生体内での実用を目指し、近赤外蛍光基を付与した二価結合型リガンドを作成中である。
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Research Products
(2 results)