2010 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-β/ActivinシグナルとHippoシグナルのクロストークの解析
Project/Area Number |
09J05830
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神家 有斗 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | TGF-β / リプログラミング / iPS細胞 / YAP |
Research Abstract |
Hippoシグナルを調節するYapやTazがTGF-βファミリーシグナル伝達因子のSmadと相互作用し、ES細胞において未分化性の維持に関与するという報告がなされたことにともない、私はiPS細胞誘導過程においてもTGF-bファミリーシグナルが体細胞のリプログラミングにも影響を与えるのではないかと考え、検討することにした。 まず、私は研究室におけるiPS細胞誘導系の確立から着手した。ES細胞のマーカーであるNanogのプロモーター下にGFPを発現配列が挿入されているMEFにレトロウイルスをによって遺伝子導入する方法によって、安定的にGFPを発現するiPS細胞誘導系を樹立することができた。次に、TGF-βシグナル阻害剤と様々な化合物を組み合わせてSox2やKLF4を代償することができるかを検討し、以下の結果を得た。 1)まcMycを除く3因子でのiPS細胞作製効率を上昇させるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤VPAとTGF-βグナル阻害剤のSB431542の両方を同時に添加することによって、Sox2の代償になる。 2)TGF-βシグナルが癌細胞などにおいてEMTを誘導することが知られていることから、TGF-βシグナルの阻害によって初期に起こるMETが誘導され、Sox2の代償となると予測し、METにおける各リプログラミング遺伝子の役割を検討した。すると、KLF4を導入した時にのみMET様の遺伝子変化を示し、予想に反してSox2は中期以降に重要な役割を果たしているということが分かった。 3)繊維芽細胞でTGF-βグナルを阻害すると部分的にMET誘導され、さらにBMP阻害剤を加えるとKLF4を導入しなくてもMETを誘導させることができたことから、これらの化合物がKLF4とSox2の代替となるということが示唆された。 現在は、上記化合物とOct4一因子のみによって多分化能を持ったiPS細胞が誘導できるかを検討中である。
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