2010 Fiscal Year Annual Research Report
トーラスプラズマにおける共鳴摂動磁場印加時の主プラズマ電子及び高速電子の輸送研究
Project/Area Number |
09J05858
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡辺 文武 京都大学, エネルギー科学研究科, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 球状トカマク装置(LATE) / 大型ヘリカル装置 / 外部摂動磁場 / 周辺プラズマ制御 / 高速電子 / 輸送特性 / 電子サイクロトロン共鳴加熱 / 主プラズマ電子 |
Research Abstract |
本研究は、電子サイクロトロン共鳴加熱(ECH)を用いて生成した高速電子によるプラズマ電流立ち上げと磁気面形成を実現する球状トカマク装置(LATE)及び、外部共鳴摂動磁場を高温高密度プラズマへの印加を可能とする大型ヘリカル装置(LHD)の双方の特徴を利用し、上記の輸送特性の基礎過程を調べることを目的とする。本年度は、LATEのプラズマ電流立ち上げ実験を進展させると伴に、以下の結果が得られた。LATEのトロイダル磁場強度B_t=485Gauss、垂直磁場強度B_v=80Gauss(真空容器中心での値)の磁場条件下において、微弱な径方向摂動磁場(δb_r/B_t=3.6x10^<-4>)の印加によって、1割程度のプラズマ電流の改善が初めて観測された。同時に、プラズマ電子温度(可視分光計測による推測)及び電子密度の上昇が観測された。特に、プラズマ中心付近を観測する線平均電子密度は、2倍程度増大し、その値は主プラズマの視線長を50cmとして2.45GHzマイクロ波の遮断密度(7.4x10^<10>cm^<-3>)の約3倍にも達する。このとき、17個のフラックスループを用いた磁気解析では、最外殻磁気面がわずかに拡大していることが確かめられた。更に、磁気解析から見積もられた平衡圧力分布によると、プラズマ電流の大部分を担う高速電子の通過粒子の割合が増大しており、高速電子のピッチ角が微弱なδb_rによって制御されたことが示唆される。この結果は、ECHによるトカマクプラズマ形成における新しい制御手法の可能性として期待できる。また、主プラズマの輸送特性を明らかにする旨ために、揺動計測システムの増強を行った。初年度にLATE上部ポートに取り付けたAXUV検出器アレイを、新たに水平ポートに2台増設する計画を進め、磁気プローブ(径方向成分、垂直方向成分)の新規取り付けの準備も開始した。
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