2010 Fiscal Year Annual Research Report
記憶の統合・変遷とそれに関わるエピジェネティックな制御の解明
Project/Area Number |
09J06051
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
平野 恭敬 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 特別研究員(SPD)
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Keywords | ショウジョウバエ / 記億 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
記憶を長期的に維持するためには、神経機能に関わる遺伝子の発現誘導が必須である。私は、遺伝子発現を制御するエピジェネティクスが記憶に関与するのではないかと考え、これを検証する研究計画を提唱した。私はショウジョウバエをモデル生物として用い、昨年度、エピジェネティクスが長期記憶に関与するであろうことを遺伝学的に検証し、それを示唆する結果を得た。本年度、エピジェネティックな変化を検証するための、計画書どおりの手法を試みたが、成功しなかった。そこで、記憶中枢の細胞核のみを単離する新規の手法を考案した。この新規手法を確立することに成功し、記憶に関与する遺伝子座で、実際にエピジェネティクスが記憶に伴い変化することを確認した。さらにこの手法を用いれば、記憶中枢の細胞でおこる、記憶形成に伴うエピジェネティックな変化を、次世代シークエンサーを用いてゲノムワイドに解析することができる。ゲノムワイドに解析することで、記憶とエピジェネティクスの関連を包括的に理解することができると考えている。現在、シークエンス解析が終了し、そのコンピューター解析の結果を待っている。来年度は、エピジェネティクスの変化を指標に、記憶とエピジェネティクスの相関関係を明らかにする。例えば、長期記憶は限られた学習だけで形成されるので、エピジェネティクスの変化はそのような学習でのみ誘導されることを示す。さらにエピジェネティクスが変化する遺伝子が、実際に記憶に関与することを確認する。これらの結果が得られ次第、論文にまとめる予定である。
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Research Products
(1 results)