2010 Fiscal Year Annual Research Report
磁化ダイナミクスによる電流生成メカニズムの理論解析
Project/Area Number |
09J06160
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
竹内 祥人 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 磁気モノポール / マクスウェル方程式 / 逆スピンホール効果 / スピントロニクス |
Research Abstract |
本年度は、強磁性金属と非磁性金属の接合系で起こる、磁化の歳差運動と量子相対論効果であるスピン軌道相互作用によって駆動される電子の運動を、量子多体論に基づいて解析的に計算する事により、電磁気学の基本法則であるマクスウェル方程式を導出した。本来、マクスウェル方程式はゲージ場によって定義されるものであるが、今回はそれとは全く異なり、電流を計算する事により有効場を求め、その有効場が満たす方程式としてマクスウェル方程式を導いた。さらに、このマクスウェル方程式は磁気モノポールを含んだものである。この磁気モノポールは、磁化の歳差運動によるスピン角運動量の緩和がスピン軌道相互作用を介して軌道運動へと変換される形で記述される。また、磁気モノポール流に対するアンペール則により、電気的にこの磁気モノポールを測定することが可能である。 これまで強磁性非磁性金属接合系で磁化の歳差運動により生じる起電力には、スピン角運動量の流れであるスピン流が本質的な役割を果たしていると考えられてきた(逆スピンホール効果)。しかしスピン流は一般に非保存な量であり、マクスウェル方程式にも現れない物理量である。一方で磁気モノポールは、マクスウェル方程式によって観測量である電流と結びつけることが理解できる保存量である。今回の結果は逆スピンホール効果の実験が磁気モノポールを介して電磁気学的に理解できることを示唆しており、今までのスピン流を用いた現象理解の他に新しい可能性を見出したと期待している。
|
Research Products
(6 results)