2009 Fiscal Year Annual Research Report
菌類におけるマイクロRNAを介した遺伝子発現調節機構の解明
Project/Area Number |
09J06161
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
姫野 未紗子 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | イネいもち病菌 / 菌類の転写後調節機構 / マイクロRNA |
Research Abstract |
microRNA(miRNA)は動物や植物で解析が進んでおり、形態形成やホルモン伝達、発生に関わる遺伝子のmRNAに結合し、それら遺伝子の翻訳をトランスに調節するという生物の恒常性を支える重要な役割を担っている。 本研究は、菌類におけるmiRNAの存在を証明し、植物へ感染段階に関わるmiRNAの作用機構を解明することを目的としている。実験材料として、イネに深刻な被害を与えるイネいもち病菌を用いている。イネいもち病菌は、その経済的な重要性から、植物病原菌として初めて全ゲノムが解読され、植物病原糸状菌のモデル生物となっている。イネいもち病菌は、植物に感染する際に器官の分化・形成が必要なため、miRNAによる遺伝子発現制御を解明することで防除などの応用面に役立つ可能性がある。 今年度は、イネいもち病菌の小分子RNAについて配列解析を行った。イネいもち病菌ウイルス、Magnaporthe oryzae virus 2(MoV2)が潜在感染している菌株より、小分子RNAをクローニングし、配列解析後、アノテーションの結果をデータベース化した。 その結果、11から34ntの塩基長の小分子RNAが得られ、それらの5'末端の核酸は他の生物種のsmall RNAと同じように、AまたはUにバイアスがかかっていた。配列の中には、イネいもち病菌のLTRレトロトランスポゾンであるMAGGYや、イネいもち病菌ウイルスMoV2由来の小分子RNAも含まれていた。従って、イネいもち病菌のmRNAを介した転写後調節機構は内在性遺伝子と外来性のウイルスの両方に機能していることが示唆された。以上の結果は、今年度中に投稿論文として発表している。 RNAサイレンシングの経路はmiRNAの経路とも重なり合っている可能性が高く、今回得られたデータは菌類におけるmiRNAの存在証明をするための手がかりとなり得る。今後、さらにデータベース化した配列情報を整理し、miRNAの候補配列を絞っていく予定である。
|
-
-
-
[Journal Article] The N-terminal region of the Plantago asiatica mosaic virus coat protein is required for cell-to-cell movement, but is dispensable for virion assembly.2009
Author(s)
Ozeki J., Hashimoto M., Komatsu K., Maejima K., Himeno M., Senshu H., Kawanishi T., Kagiwada S., Yamaji Y., Namba S.
-
Journal Title
Molecular Plant-Microbe Interactions 22
Pages: 677-685
Peer Reviewed
-
-