2010 Fiscal Year Annual Research Report
非典型的カルパインPalBHによる神経成長因子の機能制御
Project/Area Number |
09J06274
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大迫 洋平 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カルパイン / 神経成長因子 / プロテアーゼ / エンドサイトーシス / ESCRT / IST1 |
Research Abstract |
これまでに申請者らは、神経成長因子受容体p75^<NTR>の相互作用因子であるMAGE-D1と、ヒトcalpain 7 (PalBH)との相互作用を検討したが、抗MAGE抗体の感度・特異性の問題もあり相互作用は検出できていなかった。しかし、MAGE-D1-p75^<NTR>複合体はエンドサイトーシス経路において形成され、calpain 7はエンドサイトーシス経路における選別装置ESCRTの関連因子CHMP1Bと相互作用するため、calpain 7はESCRTシステム周辺で神経成長因子依存的シグナル伝達等に関与する可能性が考えられた。 近年、新規ESCRT関連因子としてMITドメイン相互作用領域(MIM)をもつIST1が報告された。calpain 7はMITドメインをもつことからIST1とcalpain 7との相互作用解析を行った結果、想定の通りcalpain 7はMITドメインを介してIST1のMIMと直接結合することが明らかになった。さらに、相互作用解析の過程で、calpain 7が自身のプロテアーゼ活性で自己消化した可能性を見出した。そこで、calpain 7を精製し試験管内における実験を行ったところ、精製calpain 7を用いた反応系においても自己消化がみられた。calpain 7は基質が同定されておらず、プロテアーゼ活性はこれまで不明であったため、今回得られた結果はcalpain 7のプロテアーゼ活性の初めての証明である。また、IST1との相互作用はcalpain 7の活性を促進することも示した。 これまでの研究により、calpain 7と複数のESCRT関連因子との相互作用が示されている。したがって、calpain 7はESCRTシステムと密接に関連しながら、プロテアーゼ活性により基質を切断することで神経成長因子依存的シグナル伝達等に影響を与えている可能性がある。
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Research Products
(2 results)