2011 Fiscal Year Annual Research Report
非典型的カルパインPalBHによる神経成長因子の機能制御
Project/Area Number |
09J06274
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大迫 洋平 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | カルパイン / 神経成長因子 / プロテアーゼ / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
これまでに申請者らは、神経成長因子受容体p75^<NTR>の相互作用因子であるMAGE-D1と、ヒトcalpain-7(PalBH)との相互作用を検討したが、抗MAGE抗体の感度・特異性の問題もあり相互作用は検出できていなかった。しかし、MAGE-D1-p75^<NTR>複合体はエンドサイトーシス経路において形成され、calpair 7はエンドサイトーシス経路における選別装置ESCRTの関連因子CHMP1BならびにIST1と相互作用するため、calpain-7はESCRTシステム周辺で神経成長因子依存的シグナル伝達等に関与する可能性が考えられた。 さらに、calpain-7はCHMP1BならびにIST1をはじめとする複数のESCRT関連因子により活性化され、プロテアーゼ活性により基質を切断することで神経成長因子依存的シグナル伝達等に影響を与えている可能性も考えられたため、calpain-7のプロテアーゼとしての性質を詳細に検討する目的で、バキュロウイルス発現系を利用し、培養昆虫細胞からの組換えcalpain-7の大量精製を試みた。 その結果、アフィニティー精製、イオン交換精製、ゲルろ過の三段階のクロマトグラフィーにより、組換えcalpain-7を従来と比べて高収量かつ高精製度で取得する方法を確立することに成功した。また、ゲルろ過の過程でcalpain-7は他の典型的calpainとは異なり、単量体として存在するcalpainであることも示唆された。これはcalpain-7の生化学的性質に関する新たな知見である。 今回確立した大量精製法は、calpain-7の酵素学的・構造生物学的解析に応用可能であり、将来的にはcalpain-7の基質の同定すなわちcalpain-7とESCRTシステムとの関連性ならびに神経成長因子依存的シグナル伝達等へ与える影響の解明に繋がると期待される。
|
Research Products
(5 results)