2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06480
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大石 俊輔 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 化学 / 複合化学 / 合成化学 / 有機化学 |
Research Abstract |
今回、ほぼ中性のアミノ有機ボラン錯体(AOB錯体)を触媒として用いたβ-ジカルボニル化合物の選択的加アルコール分解反応を見いだした。本反応では、触媒回転数TONは最大で2500に達した。2つのカルボニル基に対する選択性はβ-ジカルボニル構造の両側の置換様式に依存する。また、C-N結合だけでなくC-O、C-C結合の開裂反応も進行する。 本反応の反応溶液のpHはほぼ中性であり、様々な官能基を含む基質を用いた場合も、それらの官能基を損なうことなく官能基選択的に反応が進行する。この選択性はAOB錯体の二つのN-H基が基質の二つのカルボニル基を水素結合によって認識することによって発現すると考えられる。本反応は高い官能基許容性を持つことから、複雑化合物の全合成の終盤にも利用できると期待している。 立体的に嵩高さの異なる二種類のアルコールを混合溶媒として用いた場合、より立体的に嵩高くない方が優先して反応し、対応するエステルを与える。これはAOB錯体がβ-ジカルボニル構造だけでなく、アルコールの立体構造をも認識していることを示している。本反応は、2つ反応基質の両者ともを認識、活性化している点で非常に興味深い。これは今後、温和かつ中性pH条件での反応開発を展開する上での指針としても重要な知見である。
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Research Products
(6 results)