2010 Fiscal Year Annual Research Report
多核活性点構造を有する新規ポリオキソメタレートの合成と触媒特性
Project/Area Number |
09J06488
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊川 雄司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポリオキソメタレート / 亜鉛 / アルコール酸化 / 過酸化水素 |
Research Abstract |
本研究では、ポリオキソメタレートを基盤とした多核金属活性点構造の創製とその特長を活かした高機能触媒の開発を行うことを目的としている。アセトン中で、二欠損型シリコタングステートのテトラブチルアンモニウム塩と亜鉛アセチルアセトナートを反応させることで四核亜鉛構造を有するγ-KegginポリオキソメタレートTBA_8[{Zn(OH_2)(μ_3-OH)}_2{Zn(OH_2)_2}_2{γ-HSiW_<10>O_<36>}_2](γ-Zn4)を合成することに成功し、単結晶X線構造解析により構造を明らかにした。化合物γ-Zn4は二価の3d金属カチオンを置換したγ-Kegginポリオキソメタレートの初めての報告であった。アセトン、水の混合溶媒中で^<29>Si NMRでは-83.2ppmに単一のシグナルが、^<183>W NMRでは5本のシグナルが-97.2,-112.2,-124.7,-144.8,-169.7ppmに観測されたことから溶液中でも構造を保持していることが明らかとなった。化合物γ-Zn4はアセトン中でin-situで調製可能であり、過酸化水素を酸化剤とした種々の二級アルコールに対して対応するケトンが高収率で得られた。 化合物γ-Zn4は、亜鉛原子に配位したアクア配位子の水素結合により、構造が安定化していた。化合物γ-Zn4を真空下、150℃で2時間熱処理することにより、六角柱構造[{Zn_2W(O)O_3}_2]^<4+>が二つの[SiW_9O_<33>]^<8->ではさまれた二種類の新規サンドイッチ型ポリオキソメタレートTBA_8[{Zn_2W(O)O_3}_2H_4{α-SiW_9O_<33>}_2]・5H_2O(α-Zn4)とTBA_8[{Zn_2W(O)O_3}_2H_4{β-SiW_9O_<33>}_2]7H_2O(β-Zn4)が得られた。六角柱構造は二つの平行な椅子型六員環{Zn_2WO_3}で構成されていた。二種類の金属と酸素原子によって構成された六角柱構造はこれまで報告されていない。化合物α-Zn4、β-Zn4は、過酸化水素を酸化剤とした種々のアルコールの酸化反応に高い触媒活性を示し、対応するケトンが高い過酸化水素有効利用率、高選択的に得られた。化合物β-Zn4を反応後、過剰のジエチルエーテルを加えることにより回収した触媒は、活性を低下させることなく、再使用可能であった。
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Research Products
(6 results)