2009 Fiscal Year Annual Research Report
地理と歴史の文脈を考慮したソーシャル・キャピタル論の構築
Project/Area Number |
09J06500
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
埴淵 知哉 Ritsumeikan University, 文学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 社会関係資本 / 健康 / 社縁 / ライフヒストリー / 疫学調査 |
Research Abstract |
1.概要 本研究の目的は、地域の社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)が住民の健康に寄与するメカニズムを、一般的・全体的な視点ではなく、具体的な地理と歴史に照らして実証的に解明することである。本年度は、(1)大規模疫学調査データの解析、(2)2010年の疫学調査に向けた調査票設計、(3)知多半島を対象としたインタビュー調査、(4)全国代表サンプルの社会調査データの地点情報整備と解析、をおこなった。 2.個別の状況 (1)日本福祉大学による大規模疫学調査(AGESプロジェクト)に継続的に参加し、2003・2006年の調査データを用いて統計解析を進めた。特に、本研究が対象とする知多半島において特徴的な地区を選択し、「社縁」に注目しながら健康と社会関係資本の関連性を示した。この内容は、米国で開催された健康と社会関係資本に関する国際シンポジウムで発表した。 (2)AGESプロジェクトによる第3次の大規模調査が2010年に実施されることになったため、社会関係資本および近隣環境の項目を中心に、調査全体のデザインと調査票の設計を進めた。 (3)対象地域の事情に詳しいキー・インフォーマント(対象企業の労働者・退職者、対象地区の自治会長および住民、市町村保健師)に対して、半構造化インタビュー調査を実施した。就業と居住歴を中心としたライフヒストリーと、地域の協調行動に関する具体的な事例を中心に聞き取りをおこなった。 (4)JGSS(日本版総合的社会調査)データに地理的な情報を付加する作業をおこない、健康と社会関係資本に関する包括的な分析の可能性を示した。基礎的内容は今年度に論文を公表しており、本格的な分析結果については今後、順次報告していく予定である。
|