2009 Fiscal Year Annual Research Report
共通揺動外力による非線形素子のコヒーレンスと神経細胞ネットワークでの同期の制御
Project/Area Number |
09J06640
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
新井 賢亮 The Institute of Physical and Chemical Research, 脳回路機能理論研究チーム, 特別研究員(PD)
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Keywords | 位相振動子 / 同期 / Local Field Potential / 機械学習 / 神経細胞ネットワーク |
Research Abstract |
1.非線形振動子での共通インパルスノイズ入力による同期を引き起こす、最適な位相ダイナミクス(位相応答曲線)を理論的に計算した。Euler-Lagrange方程式によりLyapunov指数の最適化を数種類の拘束条件下で計算し、拘束条件を変える事により神経細胞で見られるtype I,とtype IIダイナミクスの典型的な形の位相応答が得られる事が証明で来た。哺乳類等の皮質内で考えられる拘束条件だと多分type IIダイナミクスに似た位相応答の解が最も妥当だと思われる。一般的にはtype Iとtype IIの位相ダイナミクスを持つ神経細胞は、ネットワーク内で異なる役目を担うと考えられて来たが、この結果からtype IIダイナミクスの役割として、共通入力に対して瞬時に同期を引き起こす神経細胞と考えられる。 2.ラットの随意運動、細胞外電位(LFP)と神経細胞の関係性について、Isomura et.al, Nature Neuroscience 2008のデータ解析を始めた。この論文では運動を構成する上での役割が記録された神経細胞毎に明らかにされており、この研究では細胞と細胞外電位の関係性を調べている。細胞外電位は神経細胞へのシナプス入力を反映していると考えられていて、現在の研究ではLFPから単一神経細胞の活動をどこまで予測出来るかを研究している。解析しているデータは運動野で等間隔の深さで得られた物で、今回の研究は予測をする際、どの深さのデータが最も有力な情報として効いているかである。皮質は層構造を成していて、異なる層には異なる入力が入るため、この解析は層内での情報の流れを理解するのに重要である。また、先攻研究でin vitroでの細胞の通電実験での発火の時刻の予測[Kobayashi et.al, Front.in Comp.Neuroscience]等が存在するが、in vivoで、しかも運動を構成する上で役割が明らかにされた単一神経細胞の予測はまだ無い。この研究は基本的には細胞外電位の特徴(生理学的に妥当なLFPの周波数分解した信号、ウェーブレットによる局所的なパワースペクトル)を用いて機械学習で予測をしているが、在来の機械学習に加えて神経細胞の膜の特性を考慮して、発火の閾値を可変にしたモデルを取り入れている。
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