2009 Fiscal Year Annual Research Report
LHC物理を中心とした標準模型を超えた物理の理論的研究
Project/Area Number |
09J06647
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 栄太 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 宇宙線 / 暗黒物質 / 超対称標準模型 |
Research Abstract |
当年度における私の研究は大きく分けて二つある,一つは宇宙線の観測と暗黒物質に関するものであり,もう一つは暗黒物質と超対称標準模型に関するものである.一つ目の研究では,最近宇宙線のいくつかの実験で異常な量の電子・陽電子が観測されていることに注目した.私は,これらの観測結果が暗黒物質の崩壊・対消滅によるものだと仮定した時に,模型に依らずに暗黒物質の性質に与える示唆について研究した.特に観測結果から暗黒物質の崩壊・対消滅で出てきた粒子のエネルギースペクトルを再構成する方法を考え出し,実際に例示した.この研究は模型に依らずに暗黒物質の性質を理解できるという点で他の研究とは異なりユニークである.将来より多くの観測結果が出た際にも重要な手法になると考えられる.もう一つの研究において,私は具体的な暗黒物質を与える模型の構築を行った.ゲージ伝達型模型は超対称標準模型の中でも,flavor changing neutral current問題の解決やグラビティーノ問題の解決を与えるものとして特に興味深い模型である.ところが,ゲージ伝達型模型では暗黒物質の候補が簡単には見つからないという問題をかかえている.私はゲージ伝達型模型でも暗黒物質の候補を持っている模型を具体的に構築し,その模型の性質を調べ,実験的な予言を調べるという研究を行った.この研究は将来ゲージ伝達型模型が実験的に正しいと確かめられた際に暗黒物質の問題に一つの答えを与えるものとして重要な意義があると考えられる.現在,この模型のLHCにおける検証についての研究を引き続き行っている.
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Research Products
(3 results)