2009 Fiscal Year Annual Research Report
量子操作の情報論的可視化とそのエンタングルメントの分析への応用
Project/Area Number |
09J06681
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 優 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 情報量 / ノイズ / 量子測定 / 量子操作 / Lie代数 |
Research Abstract |
1.量子操作、特にノイズによる量子系の持つ情報量の変化、および、その情報を得るための最適な測定方法を求めた。量子系では外界との相互作用を完全に断ち切ることは出来ないため、それによる不可避なノイズが量子状態を破壊し、量子コンピュータや量子ネットワークの実現を妨げている。それらのノイズは原理的に不可避であるため、したがって、ノイズによって破壊された量子状態から如何にして元の量子状態についての情報を読み出すか、という問題を考えることが重要である。量子操作によるノイズの記述や、量子系から情報を取り出すための測定は無限の自由度があり、これらを効率的に解析するのは非常に困難であったが、Lie代数を用いて量子状態、物理量、量子測定、量子操作が統一的に表せることを発見し、それを用いることで情報量の変化や最適な測定を求めることができた。これらの結果は「Optimal Measurement on Noisy Quantum Systems」というタイトルでPhysical Review Lettersに掲載された。また、4th FEYNMAN FESTIVAL/International conferenceや日本物理学会2009年秋季大会、第20回量子情報技術研究会など多くの会議・研究会で発表を行った。 2.量子系に対して何らかの操作を行っている場合、その操作における入力系と出力系とでは物理系が異なる場合が多い。例えば、電子や原子の量子状態を光子へと転写して遠方へ転送したり、逆に光の状態を原子集団に転写して保存したり、といった実験が既に行われている。そこで、1の結果をそのような入力系と出力系とが異なる量子操作に一般化した。この結果は日本物理学会第65回年次大会で発表した。また、現在、論文を執筆中である。
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