2009 Fiscal Year Annual Research Report
グレブナー基底及び格子を用いた商特異点の特異点解消に関する研究
Project/Area Number |
09J06922
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
関谷 雄飛 Nagoya University, 大学院・多元数理科学研究科, 特別研究員-DC2
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Keywords | マッカイ対応 / モジュライ空間 / 捩れ群環 / 傾理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は商特異点の性質を調べる事であるが、今年度は、特にクライン特異点の特異解消に関しての研究を行った。クライン特異点は2次元の代数多様体上の特異点で最もマイルドな特異点であり、古くからマッカイ対応や、変形理論などの関連から研究されてきた。最近では、導来圏を通して代数幾何学と非可換環との関係が重用視されつつあり、クライン特異点には顕著にそのことが現れている。具体的には、捩れ群環または前射影代数という非可換環が対応する。これは導来マッカイ対応と呼ばれる。また次のような関係がある。クライン特異点の極小特異点解消は、前射影代数の加群のモジュライ空間とみなすことができる。 さて、モジュライ空間を構成する際に、パラメータを一つ選んでモジュライ空間を作るのであるが、特にパラメータを変化させたときに、モジュライ空間がどのように変化するかが重要である。これに関しては山浦氏と共同で詳細に調べた。前射影代数上の傾理論を用いることで、モジュライ空間の不変族の変化を具体的に記述する事ができた。また、ある特殊なパラメータに対して、特異点解消の例外曲線が既約表現に対応するというマッカイ対応が成り立つことが知られていたが、これを任意のパラメータに対してルートの言葉を用いて一般化することができた。 来年度は、3次元の場合に、パラメータの変化とモジュライ空間の関係について調べる予定である。2次元の場合は、パラメータを変化させても各モジュライ空間は多様体としては同型であったが、3次元ではフロップという現象がおこる。そこで、商特異点の場合に、フロップと非可換環の関係を調べることが次の目標である。
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