2009 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠女性のMRI利用による胎児内電磁波エネルギー吸収量の高精度評価
Project/Area Number |
09J07044
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
菊池 悟 Chiba University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | MRI / SAR / 妊娠女性 / 胎児 / 温度上昇 / 胎児奇形 / 電磁波エネルギー吸収量 / ICNIRP |
Research Abstract |
本研究では、妊娠女性がMRI(Magnetic Resonance Imaging:核磁気共鳴画像法)装置を利用した際の高周波電磁波による体内(特に母体腹部および胎児)の電磁波エネルギー吸収量について検討を行っている。これまでの検討より、高周波電磁波による体内のSAR(Specific Absorption Rate[W/kg]:比吸収率)(電磁波エネルギー吸収量)分布は、MRI装置に関する安全基準を定めたIEC60601-2-33 2nd edition(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)におけるSARの規制値より低くなることが明らかになっている。しかしながら、妊娠女性や胎児に関するSARの規制値が定められていないため、現段階では安全性について結論付けることは難しい。そこで本研究では、胎児奇形や成長遅延、発育障害の直接的な原因となりうる妊娠女性における温度上昇やICNIRP(International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection:国際非電離放射線防護委員会)より報告されている推奨指針値と比較を行うために、これまでに求めたSARを発熱源として、妊娠女性および胎児内における温度上昇を検討した。シミュレーション結果より、比較的SARが高い領域(母体の皮膚や筋肉組織、大腿部や腋窩などの体の組織構造により隙間が狭いところ)において、周囲より高い温度上昇を確認した。また、胎児奇形や成長遅延、発育障害が危惧される妊娠女性深部や胎児内の温度上昇の閾値と比べたところ、その値を超えることはないことを明らかにした。さらに、通常のMR画像撮像時の条件において、胎児付近の温度上昇値は、ICNIRPの指針値を上回ることはないことが明らかになった。
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