2009 Fiscal Year Annual Research Report
アポロ月面重力計データを用いた月震波解析と月内部構造の推定
Project/Area Number |
09J07206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川村 太一 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 月 / 地震学 |
Research Abstract |
本研究ではアポロ計画中に設置された月面重力計を月震計として利用する事で、あらたな観測点として従来の月震データを用いた解析に加え、より詳細な月の内部構造の試みる事を主眼としている。今年度の研究では新たに加えた重力計のデータを用いる事で過去の研究では震源を特定する事ができなかった月震の震源の特定を試みた。本研究では専攻研究で指摘されていた60の震源未決定深発月震について検証を行い、そのうちの5つの震源決定に成功した。この5つの深発月震のうち、4つは震源が月の表側の観測点に比較的近い位置にある事がわかったが1つは月の裏側にあり、これまで特定された深発月震の中でも観測点から最も遠い位置にある可能性が高い事がわかった。しかし、現段階では震源の決定精度が十分ではなく、この深発月震を用いた月の深部構造の詳細な議論は難しい。 これらの検証を経て、重力計のデータの利用が過去の震源が未決定の震源決定に対して有効な手段であること、より詳細な議論のためには震源の決定精度の改善が必要である事が示唆された。そこで月内部構造の詳細な推定を目指してここで解析方法の改善を健闘した。本研究では従来のような単成分のデータのみを用いた解析ではなく、複数成分のシグナルを利用した解析を行う事でノイズの軽減を試みる。特にアポロの月震観測で鉛直成分が長周期と短周期の二つの帯域で観測をしていた事に注目し、この二つのデータを組み合わせる事で擬似的により広い帯域で月震波シグナルを解析することを試みる。現在は解析手法の確立、実際のデータを用いた検証を行っており、今後は校正データの情報も加えた長周期-短周期データの合成、およびそれを用いた未解析、震源未決定月震イベントの特定を試みる予定である。
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Research Products
(6 results)