2010 Fiscal Year Annual Research Report
有用なグルカン創製を目指したグルカナーゼの構造機能解析と機能改変に関する研究
Project/Area Number |
09J07332
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
田邊 陽一 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | グルカン / 酵素 / 等温滴定型熱量計 / 機器分析 / 構造機能解析 / X線結晶構造解析 / 蛋白質 / 核磁気共鳴 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、等温滴定型熱量計を用いたendo-1,3-β-glucanase触媒ドメインと各種基質との分子間相互作用解析を行った。HEPESバッファー中で、β-1,3結合のみを持つ2糖から7糖との結合熱を測定した結果、リン酸バッファーの時と同様に、6糖との結合でエントロピー変化が相対的に最も正に大きく、脱水和の寄与が示唆された。一方で、MOPSバッファー中での測定では、6糖ではなく5糖との結合でエントロピー変化が相対的に最も正に大きく、リン酸バッファーやHEPESバッファーでの結合様式と異なることが示唆された。触媒ドメインのX線結晶構造解析では、結晶化の条件検討を重ねた結果、蛋白質結晶と期待される結晶が得られ、X線解析を現在行っている。また、本年度は優秀若手研究者海外派遣事業に採択され、米国ピッツバーグ大学にて、核磁気共鳴(NMR)実験を行った。具体的には、各種多次元NMRスペクトルを測定し、糖結合に関与する酵素アミノ酸の同定を目指した。触媒ドメインの分子量は約30kであり、NMR解析を行うには大きな蛋白質であるにも関わらず、得られた2次元及び3次元NMRスペクトルは、各アミノ酸ピークが分離した非常に良好なデータであり、各アミノ酸ピークを帰属するために十分利用可能なものであった。また、基質を段階的に滴下し、各アミノ酸のピークシフトを追跡する実験(化学シフト摂動法)も並行して行い、これまでに糖結合に関与すると考えられるアミノ酸を既に同定した。これらの実験結果は、endo-1,3-β-glucanaseの研究において新規データであり、同酵素の構造機能解析を行う上で極めて重要である。
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