2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J07368
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野村 昂亮 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 相互作用するボソン模型 / 平均場理論 / 形の相転移 / 不安定核 / 集団運動 / 慣性モーメント / 結合エネルギー / 量子揺らぎ |
Research Abstract |
平均場理論と相互作用するボソン模型(IBM)の関連性という観点から、中重核の4重極集団運動を研究した。平均場理論では原子核の内部固有状態の物理量を計算できるが、励起状態のエネルギーと波動関数を計算するのは一般に難しい。一方IBMは励起状態の物理量をうまく記述できるが現象論的である。そこで、両者の利点を生かす形で、平均場理論から出発してIBMハミルトニアンの相互作用強度を導出する方法を近年開発した.4重極集団運動に関わる相互作用強度は、核子系からIBM系へのポテンシャルエネルギー面の写像によって導出する。この方法を広い範囲の偶々核に適用した結果、実験で示唆される、4重極変形した原子核の持つ対称性とそれらの間の遷移「形の相転移」をほぼ再現した。また、結合エネルギーに含まれる量子揺らぎの寄与を系統的に調べ、それが球形核から変形核への遷移状態で最も顕著である事を示した。これは、IBMハミルトニアンの対角化によって平均場を越えた相関が正しく取り込まれる事を裏付けている。さらに、回転に対する核子系のレスポンスをIBM系に写像する方法を考察した。従来のIBMでは現象論的にしか扱われなかった回転の質量項(LL項)に注目して、平均場理論とIBMの両方でクランキング模型を用いて慣性モーメント(moment of inertia;MOI)を計算し、後者のMOIが前者を再現しうるようにLL項のパラメータの値を微視的に決定した。いくつかのケースでこの方法を応用したが、LL項にはSm(サマリウム)同位体などの強く軸対称変形した原子核においてイラスト状態のエネルギーを大きく下げる効果がある一方、Ba(バリウム)同位体などのガンマ不安定核ではその寄与が小さいことを示した。特に重要な結果として、強く変形したSm・Gd(ガドリニウム)同位体の回転バンドの実験値を正確に再現できた事などが挙げられる。
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Research Products
(8 results)