2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J07405
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金原 正敬 東北大学, 大学院・歯学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アレルギー / 金属 / 接触過敏症 / 交差反応 / lipopolysaccharide |
Research Abstract |
金属アレルギーは、研究に有用な動物モデルが無かったこともあり、その詳細は未だ不明な点が多い。しかしながら、私達は近年、グラム陰性菌細胞壁成分であるlipopolysaccharideがマウス金属アレルギーを著しく促進することを見いだし、再現性のよい金属アレルギーマウスモデルの作製に成功した。 金属アレルギー患者はしばしば複数金属に陽性反応を示すが、交差反応の詳細も未だ不明であるため、個々の金属に対する反応なのか、または交差反応なのかの判断が難しい。本年度は、上述のマウスモデルを用い、金属アレルギー交差反応について主に検討した。 超高純度金属塩(>99.99%)を用いた実験において、検討した金属種(Ni, Pd, Co, Cr, Cu, Au)のなかで、NiとPd間にのみ交差反応が認められ、交差反応した金属の最少有効濃度は、真の抗原金属と同じレベルであった。低純度金属塩(93-99%)を用いた同様の検討では、驚くことに、用いた金属種全てに対する陽性反応が誘導され、これらは低純度金属塩中に含まれる微量コンタミ金属によるアレルギー反応であった。 これらの結果は、Ni, Pd, Co, Cr, Cu, Auにおいて、NiとPdは互いに交差反応し、他の金属間には交差反応性はないこと、さらに、パッチテストなど感作金属の特定には高純度の金属の使用が不可欠であることを示唆する。 これらの研究に加え、本年度は、金属アレルギー発症に関与する免疫担当細胞の解析に関しても、枯渇抗体による細胞枯渇実験などにより検討し、金属アレルギー発症過程において、その感作相および惹起相のいずれにおいても、好塩基球が重要に関与することを示唆する興味深い結果も得ている。 以上のことより、本年度の研究は概ね計画通りに進行した。
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Research Products
(6 results)