2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和を目指すポリフッ化水素塩イオン液体中での電解フッ素化反応
Project/Area Number |
09J07704
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
澤村 享広 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 電解フッ素化 / イオン液体 / メディエーター / グリーンケミストリー / 電解合成 / フッ素化反応 |
Research Abstract |
本研究では、新規電解反応メディアであるポリフッ化水素塩イオン液体に着目し、この系の特徴である両親媒性、高導電性、豊富なフッ化物イオン含量を考慮に入れた環境調和型の反応プロセスの開発を目的としている。具体的には、揮発性有機溶媒(VOC)を一切使用しない無溶媒系電解フッ素化を様々な化合物に適用することで、従来法よりも効率的かつ環境調和プロセスによる有機フッ素化合物の合成を行う。この手法を確立するにあたり大きな問題点がある。ポリフッ化水素塩イオン液体を用いる電解反応において、陽極上に非導電性の膜を形成して電極反応を阻害する陽極不動態化がしばしば起こる。この問題点は、基質と電極との直接反応を経ないメディエーターを介する間接電解法を用いることで解決できる。 ところで超原子価ジフルオロヨードアレーンは優れたフッ素化剤として知られている。これは無水フッ酸存在下でヨードベンゼンを電解酸化することで得られることを当研究室にて見出している。そこで私は、イオン液体構造であるイミダゾリウム塩部位を同一分子内にもつヨードベンゼンを合成した。これによりイオン液体への親和性が向上し、固定化ができる。これを反応系でポリフッ化水素塩イオン液体と組み合わせることで、系中での超原子価ジフルオロヨードアレーンの合成、またこれによる基質のフッ素化を一段階で行うことに成功した。また本系は多様な基質に対応しており、比較的に電解酸化され易い硫黄化合物において、硫黄原子のα位および脱硫フッ素化が選択的に進行することを確認している。また、電解酸化されにくいとされている硫黄原子を含まない化合物のフッ素化にも成功しており、幅広い汎用性を示すことができた。さらに本系は有機溶媒で目的物のみの抽出が可能であり、メディエーターを含むイオン液体電解液はそのまま再利用でき、収率低下を伴うことなく、同一の反応を繰り返し行うことができた。
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Research Products
(7 results)