2009 Fiscal Year Annual Research Report
巨大パイ共役系金属錯体の精密配向制御による電子受容体/供与体分離積層構造の構築
Project/Area Number |
09J07734
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
櫻井 庸明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 液晶 / 有機半導体 / キャリア種 / 縮環ポルフィリン / 相溶性 / 非相溶性 / スタック構造 |
Research Abstract |
以前に報告している疎水鎖と親水鎖を非対称に導入した縮環ポルフィリンの液晶化への分子設計(J.Am.Chem.Soc.2008,130,13812-13813)をより一般化するため、疎水鎖とも親水鎖とも混じり合わない超疎水鎖であるフルオロアルキル鎖の導入を検討した。実際に、疎水鎖と超疎水鎖を非対称に導入した化合物と、親水鎖と超疎水鎖を導入した化合物の合成を行い、コアに混じり合わない2種類の側鎖を非対称に導入することがカラムナー液晶発現に一般的に有効であることが確かめられた。さらに、すべてをフルオロアルキル鎖で修飾した化合物についても中間相を発現するという事実を発見した。さらに、これらの半導体特性をTOF(Time-of-Flight)法により評価したところ、2種類の側鎖を有する化合物は電子輸送特性(n型)を示し、すべてフルオロアルキル鎖で修飾した化合物はホール輸送特性(p型)を示すという予想外の挙動を発見した。これらは分子単体としての電子的性質は全く同一であったことから、その集合状態の差がこのような半導体特性の差を生み出すと考えた。詳細な構造解析を行った結果、非対称修飾された化合物群はいずれも水平移動を伴ってスタックしたカラム構造を形成しレクタンギュラーカラムナー相を形成するのに対し、フルオロアルキル鎖で対称修飾された化合物は回転移動を伴ってスタックしたカラム構造を形成していることが示唆された。前者と後者ではスタック様式が異なるため軌道間相互作用が大きく異なり、輸送される主キャリア種がスイッチするという、理論的な提唱が実験的に示された初めての例であると考えられる。この研究結果はアメリカ化学会誌速報として投稿され、受理された(J.Am.Chem.Soc.2011,133,in press.)。
|
Research Products
(4 results)