2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子モーターの動作機構のマルチスケールな解析:全原子・粗視化シミュレーション
Project/Area Number |
09J07737
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岡崎 圭一 Waseda University, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 分子モーター / 粗視化モデル / マルチスケール / 分子動力学 / アクトミオシン / 分子シミュレーション |
Research Abstract |
分子モーターの階層的なダイナミクスを全原子・粗視化シミュレーションを駆使して解析するという研究目的の中で、本年度は粗視化シミュレーションに重点をおいて研究を行った。まず、現実的な蛋白質間粗視化力場の開発を行った。これは、静電相互作用と疎水性相互作用からなるアミノ酸配列依存の普遍的なものである。疎水性相互作用に関しては、コンタクトエネルギーを用いた二体力相互作用と各残基の埋もれ度を計算する多体相互作用の2種類の相互作用を試した。また、蛋白質間結合の過程で柔らかなループの動きが重要になることがあるので、ループの部分の分子内相互作用を全原子シミュレーションの結果を再現するように決めた。以上のモデルをアクチンモノマー19個からなるアクチン繊維とミオシンIIの系に適用をした。まず、静電相互作用のポテンシャルエネルギー地形を調べると、先行研究[Takano, Terada and Sasai(in press)]に見られるようなポテンシャルの坂を確認し、実際5,10nmの一方向性のステップを観察することができた。次に、疎水性相互作用のエネルギー地形を、上述の2種類の相互作用を個別に用いて比較した。その結果、二体相互作用の場合のエネルギー地形は非現実的なほどでこぼこしてしまうのに対して、多体相互作用だと比較的なだらかで現実的なエネルギー地形が得られることが分かった。さらに、従来言われてきたアクトミオシン複合体構造とは違う場所の疎水性相互作用エネルギーが安定になることを発見し、現在も解析中である。また、より信頼性の高い粗視化モデル構築のために、解離定数など実験値を再現するようにパラメータ決めを現在行っているところである。
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