2010 Fiscal Year Annual Research Report
アニオン応答性π共役系素子を基盤とした超分子集合体の創製
Project/Area Number |
09J07873
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
羽毛田 洋平 立命館大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | π共役系分子 / ピロール誘導体 / アニオンレセプター / アニオン認識 / 超分子組織体 / らせん構造 / 超分子ゲル / 電荷積層構造 |
Research Abstract |
π共役系非環状型オリゴピロール(ジピロリルジケトン誘導体)は周辺置換基修飾によりさまざまな機能付与が可能であり、効率的な分子集合化により電子・光マテリアルへの展開が期待される。そこでまず、ジピロリルジケトン誘導体が固体中において周辺置換基に依存した多様な水素結合型集合体を形成することを明らかにした(Spramol.Chem..2011)。一方、ジピロリルジケトンホウ素錯体はアニオンと平面状会合体を形成し、対カチオンとの相互作用により「電荷積層型集合体」を基盤とした組織構造(固体およびソフトマテリアル)の構築が可能であることを報告している(Angew.Chem.Int.Ed.2010、総説としてPure Appl.Chem.2011)。レセプターの周辺置換基修飾による平面状アニオンの形状や電子状態の変調および対カチオンとの組み合わせにより組織構造形態の制御が可能になると考えられる。実際に、電子求引性置換基を導入したレセプター分子はオクタンと超分子ゲルを形成し、平面状カチオン塩の添加により安定な液晶相の形成を明らかにした。さらに、放射光X線による組織体構造解析により平面状アニオン・カチオンの同種電荷種間での積層の寄与が大きいヘキサゴナルカラムナー組織構造であることが分かった(論文投稿準備中)。これとは別に、アニオンレセプターメタフェニレン架橋オリゴマーは溶液中においてアニオン駆動[1+1]型(ダイマー)および[1+2]型(テトラマー)の一重らせん構造を形成し、非常に高いアニオン会合能を有することを明らかにした。また、ダイマー誘導体からアニオンをテンプレートとして合成した環状分子のアニオン会合能の評価にも成功し、これは過去の例と比較しても高い会合能を示した。さらに、これらオリゴマーのアニオン駆動型らせん形成過程を実時間で解析することにも成功した(Chem.Eur.J.2011)。
|