2009 Fiscal Year Annual Research Report
新奇な電荷軌道状態を持つ遷移金属化合物の電子構造と光新機能の開発
Project/Area Number |
09J07913
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田久保 耕 Waseda University, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 遷移金属酸化物 / 電子状態 / 光誘起相転移 |
Research Abstract |
本研究の目的は、遷移金属化合物の示す様々な新奇物性の発現機構を解明し、軌道やスピンの自由度を生かした遷移金属化合物の新材料・新機能開発に貢献することである。本年度の研究では特に遷移金属化合物に超高速でおこる光誘起相転移現象に注目した。この光誘起相転移現象のダイナミクスを測定するために、フェムト秒ポンププローブ反射率測定装置を開発するところから研究を始めた。まず、フェムト秒チタンサファイアレーザーと、遅延時間を調整する可変光路ステージを組み合わせて、フェムト秒時間スケールで反射率時間変化を測定できる装置を立ち上げた。レーザーの繰り返しと反射率測定を同期させるために、ロックインアンプを用い、フォトダイオードから出てくる信号とノイズを切り分けるように装置を改良した。この開発した測定系を用いてBaV_<10>O_<15>の光誘起ダイナミクスの研究を行った。BaV_<10>O_<15>はT_s=123Kで構造相転移をすると共に金属状態から絶縁体状態へ転移することが知られている。BaV_<10>O_<15>の低温相においてフェムト秒パルス光で励起すると、1.6eV(E//b)の光学反射率はポンプ光の励起強度によらず光照射直後(t<2ps)は一旦減少する。しかし、その後の時間変化では、励起強度が中間程度(~0.90mJ/cm^2)では増大するのに対して、励起強度が強い領域(>1.3mJ/cm^2)では反射率がさらに減少することが分かった。この変化は光照射によって温度変化では現れない新しい相が出現した可能性を示唆している。その後、また、MnV_2O_4とRTiO_3の軌道状態の研究なども行った。
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[Journal Article] Bulk-sensitive photoemission study of ACu_3Ru_4O_<12>(A=Ca, Na, and La)with heavy-fermion behavior2009
Author(s)
T.Sudayama, Y.Wakisaka, K.Takubo, T.Mizokawa, W.Kobayashi, I.Terasaki, S.Tanaka, Y.Maeno, M.Arita, H.Namatame, M.Taniguchi
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Journal Title
Physical Review B 80
Pages: 075113-1-5
Peer Reviewed
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