2009 Fiscal Year Annual Research Report
LHCでの最前方中性子測定による宇宙線シャワーモデルの精密化
Project/Area Number |
09J07959
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
間瀬 剛 Nagoya University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高エネルギー宇宙線 / ハドロン相互作用 / LHC加速器 |
Research Abstract |
申請者はLHC加速器を用いた超前方中性粒子測定実験LHCfに参加している。LHC加速器は2009年度に450GeVと3.5TeV陽子同士の衝突の衝突に成功しており、申請者はLHCf1験の一員として衝突によって生成された中性粒子であるガンマ線と中性子の測定に成功している。LHCf実験の目的はこれらのデータを使用して、現在宇宙線実験で用いられているハドロン相互作用モデルの検証を行うことであり、2009年度に初めてデータ取得が成功した。申請者は450GeVシミュレーションを中心となって行い、データとシミュレーションの比較を行っている。 LHCf検出器は激しい放射線環境下に置かれるため、構成要素であるシンチレータに深刻な損傷を受けてしまう。過去の測定によってLHCf検出器が使用しているEJ-260シンチレータは10Gyの被曝で10%光量が下がってしまうことがわかっている。そこで申請者は実際のLHCf実験の稼働状況をシミュレーションによって再現し、衝突が予定されているエネルギーでの放射線量を見積もった。その結果、450GeV衝突の場合は86日/Gy、7TeVでは1時間/Gyとなることがわかった。LHCfの測定時間を考慮すると、7TeVでの放射線ダメージは深刻である。この結果を参考に7TeV衝突に対する新型検出器として放射線耐性の大きいGSOシンチレータを採用することが決定した。現在のEJ-260シンチレータに変わる予定であるGSOの基礎性能研性をベータ線やレーザーを使って行い、またHIMACの重イオン加速器を用いて放射線耐性試験を行い、400,000Gyの照射によって減衰率は1%も下がっておらず、問題がないことを確認した。
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