2011 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子触媒の複合機能を活用した新規付加環化反応の開発
Project/Area Number |
09J07999
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
北條 大樹 東京農工大学, 大学院・工学府, 特別研究員DC1
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Keywords | ロジウム / カスケード反応 / [4+2]付加環化反応 / 芳香環化反応 / アルキン / アルキニルアルデヒド / ナフトール / フェノール |
Research Abstract |
本年度は、アルキニルアルデヒドとアルキンとを用いた[4+2]付加環化反応と引き続く芳香環化反応による、フェノール誘導体の合成反応を研究した。本研究では簡便に合成可能なアルキニルアルデヒドと、容易に入手可能なアルキンに、カチオン性ロジウム錯体触媒を作用させることで温和な条件下で[4+2]付加環化反応が進行し、さらに生成物の芳香環化反応が進行することで、フェノール及びナフトール誘導体が高効率的に得られることを見出した。またフェノール、ナフトール誘導体のみならず、興味深い構造を有するフェナントレノール、トリフェニレノール誘導体の合成を達成した。さらに、本反応を活用して第二世代グラブス触媒による閉環メタセシス反応を組み合わせることで、合成困難なクリセン骨格を有する化合物の合成へと応用を展開した。 本研究により、これまで脂肪族アルキニルアルデヒドである4-アルキナールと、芳香環架橋を有するアルキニルアルデヒドである2-アルキニルベンズアルデヒドに限定されていた、[4+2]付加環化反応の基質適用範囲の拡大を達成した。また、アルキニルアルデヒドにカチオン性ロジウム錯体触媒を作用させることで生成する5員環アシルロダサイクル中間体を鍵中間体として利用した、新規のカスケード反応の開発を達成した。本研究は、簡便に合成可能なアルキニルアルデヒドと、容易に入手可能なアルキンとから、芳香環を構築することのできる大変意義深い反応であると言える。
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