2011 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病における免疫調節因子としてのAdrenomedullinの役割の解明
Project/Area Number |
09J08021
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
細川 育子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 歯周炎 / Th17細胞 / 樹状細胞 / Adrenomedullin / シグナル伝達 |
Research Abstract |
近年、新規ThサブセットであるTh17細胞の存在が明らかにされ、関節リウマチといった炎症性疾患における骨吸収に関与していることが報告されている。また、噛周病病態形成においても、Th17細胞の分化および増殖を制御するサイトカインの存在も明らかにされており、Th17細胞の関与が示唆されている。一方、Adrenomedullin(AM)は、近年、抗炎症作用をもった内在性の免疫調節因子として作用することが報告されている。しかしながら、歯周病病変局所においてAMがTh17細胞の関与する免疫調節機構にどのように関わっているか明らかにされていない。そこで、本研究ではAMがTh17細胞への分化誘導機構にどのような影響を及ぼすかヒト末梢血単球由来樹状細胞を用いて検討を行ってきた。 本年度は、1年目に得られたAMがLipid A刺激で誘導したヒト末梢血単球由来樹状細胞からのIL-23,IL-6およびIL-1β産生を抑制するという現象に関わる細胞内シグナル伝達経路について解析を行った。 その結果、AMはAktおよびIκB-αのリン酸化を抑制することにより、LipidAが誘導するヒト末梢血単球由来樹状細胞からのIL-23産生を、またAkt,JNKおよびIκB-αのリン酸化を抑制することによりIL-6およびIL-1βの産生を抑制することが明らかとなった。さらに、AMはLipidAにより誘導されたIL-23,IL-6およびIL-1βの産生をcAMP/PKAの経路を介して抑制しており、cAMP/PKAの経路を活性化したAMは、IκB-αのリン酸化を阻害することにより、これらのサイトカイン産生を抑制している可能性が示唆された。これらのことより、AMがこれらのシグナル伝達経路を介して、ヒト末梢血単球由来樹状細胞からTh17細胞への分化および増殖を抑制している可能性が示唆された。さらにTh17細胞が歯周病における骨吸収への関与が考えられることより、歯周病治療に応用できる可能性も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、平成23年7月末まで、出産および育児により本格的な研究活動を中断していた(平成23年4月~7月:研究再開準備支援期間)ため、本年度の研究計画をすべてこなすことはできなかった。また、ナイーブT細胞と樹状細胞を共培養し、Th17細胞への分化を進めていたが、樹状細胞から産生されるTh17細胞への分化に必要なサイトカイン産生量を得ることが難しいことが明らかとなり、共培養系によるTh17細胞への分化方法を改める必要があったため、予定よりやや遅れている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
Th17細胞への分化方法を上記の理由より改める必要がある。このため、ナイーブT細胞を末梢血より分離し、リコンビナントのIL-23,IL-6,IL-1βおよびTGF-β1を用いてTh17細胞へと分化させることを検討し、進めている。そして、Th17細胞へ分化させる過程でのAMの影響を解析する予定である。
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Research Products
(8 results)