2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J08288
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 博貴 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超弦理論 / ストリング現象論 / 湯川結合 / フレーバー |
Research Abstract |
本研究の目的は標準理論のパラメーターとして導入している湯川結合定数の起源を高エネルギー理論の候補として考えられている超弦理論、特に湯川結合の記述に最適なF理論を用いて解析することである。昨年度、F理論における湯川結合定数の計算方法を開発し、一般のF理論のコンパクト化において、アップタイプ湯川結合を与える一つの相互作用点からの寄与によりアップタイプ湯川結合定数がランク1となることを示した。これは、トップクォークの質量が他のアップタイプのクォークの質量に比べて大変重いことと整合しており、現象論的に好ましい結果が得られていた。しかし、本年度の研究によりそれらが必ず偶数個であることを示した。従って、アップタイプ湯川結合定数は少なくともランク2の行列となり、現象論との整合性がとれなくなる。そこで本年度の研究でその解決方法を提案した。それは10表現場が局在化している内部空間内の複素一次元曲線の複素構造を調整して10表現場の内部空間の波動関数を指数関数型にすることである。この仮定のみで現在観測されている湯川結合定数の特徴のうち、質量固有値のヒエラルキー構造、そしてレプトンの混合行列が特に特徴をもたないアナーキー構造を説明することができる。またクォークの混合行列であるCKM行列が質量固有状態とフレーバー固有状態がペアをなすペアリング構造をなすことまでは説明することができた。実際にはCKM行列はペアリング構造が対角的に起こっている世代構造をもっており、この再現にはさらなる仮定が必要となる。この解析の重要な点はF理論の広い範囲の真空での湯川結合定数を議論したことである。他のグループは模型を作りこんで調べているが、なぜその模型が真空となるかは答えられていない。しかし、本研究によりF理論の真空の広い範囲で湯川結合定数の実験からの特徴をかなり再現できた。
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