2009 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理バンド計算からの有効模型構築に基づく異常量子輸送現象の理論的研究
Project/Area Number |
09J08306
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
臼井 秀知 The University of Electro-Communications, 大学院・電気通信学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超伝導 / 熱電効果 / バンド構造 / 第一原理計算 / 鉄ニクタイド超伝導体 / 銅酸化物高温超伝導体 / ペロブスカイト構造 |
Research Abstract |
エネルギー問題を解決するという観点で、【超伝導】と【熱電効果】について理論研究を行った。【超伝導】[1]鉄系超伝導体に対し、超伝導発現機構を探ることで、超伝導のさらなる理解を目指す、[2]旧来の問題である銅酸化物高温超伝導体の臨界温度の差異を探ることを目的とした。【熱電効果】金属的電気伝導性と高いゼーベック係数を持ち合わせた熱電効果を作成するために、どのような指針を持つことが必要か研究を行った。これらの目的から以下の内容を実施した。 【超伝導】[1]コンピュータによる数値計算で、鉄系超伝導体の高温超伝導転移の起源と臨界温度の差異を第一原理計算からのバンド構造を用い乱雑位相近似を用い、(a)LaFeAsO、(b)BaFe_2As_2、(c)FeSeに対して超伝導性を調べた。結果、(a)ヒ素の高さに応じて、ギャップが完全に開く場合とノードがある超伝導の切り替えが起こり、臨界温度が大きく変化することがわかった。(b)等原子価ドープにおいて、ホリゾンタルノードと呼ばれる超伝導状態が発現する可能性があることがわかった。(c)乱雑位相近似を超えた近似を用いないと圧力効果を説明できないことがわかった。[2]1層系銅酸化物高温超伝導体の臨界温度の差異をバンド構造から揺らぎ交換近似を用いることで検証した。結果、d_z2軌道効果が超伝導を抑制していることがわかった。 【熱電効果】ゼーベック効果に対するバンド形状と複数軌道効果をボルツマン輸送理論による方法で第一原理バンド計算からのモデル構築による数値計算を用い検証を行った。(a)LaCoO_3、(b)K_xRhO_2、(c)SrTiO_3とKTaO_3に対し研究を行い、結果、(a)温度によるスピン状態の変化に対するゼーベツク係数減少効果を再現できた。(b)揺らぎ交換近似を用いることで実験結果を非常によく再現することができた。(c)軌道が多重縮退しているため高いゼーベック係数を維持していることがわかった。
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